診断書と認定への影響

診断書等の医師の証明(医証)は、信頼のおける証明として障害年金にも添付することになっています。障害年金の請求で最初に確認するのは初診日ですが、受診状況等証明書で確認できれば通常それで足ります。(それが提出できない場合、それに代わる資料を提出することになりますが、集めるには大変な苦労が強いられます。大変な差です。)

診断書が等級判定に及ぼす影響は90%以上と言われます。(診断書は「刑事訴訟法の鑑定書のひとつ」と判例にあるそうです。)認定された場合とそうではなかった場合とでも同じなのでしょうか?「90%以上」は、暗に病歴・就労状況等申立書他の書類は影響が少ないと言ってると受け止めています。

事実ではないこと、実際よりも重く書いてもらうことは不正受給に繋がることで論外ですが、診断書が検査結果を除き、ご自身の実情が適切に反映されているかどうかが重要です。適切な診断書が作成されるための基本を以下でご紹介します。

診断書様式の選定も重要

障害年金の診断書様式は現在8種類あります。各診断書には様式番号が付されていますが、機能障害のある身体部位名が「眼の障害、肢体の障害等々」のように記載されています。障害状態が適切に審査されるには、診断書様式の選択も重要です。例えば、発症例の少ない「難病」では「その他障害」の様式となります、「その他障害」ではなく機能低下が顕著な部位の様式(例えば、肢体の障害用)で作成された診断書の方が認定上有利となります。提出する診断書様式の選定は重要です。

日本年金機構のマニュアル・「受付・点検事務の手引き」にも、『請求者の障害の状態が一番的確に記載できる様式の診断書(場合によっては二種類以上)を提出するよう指導してください。』とあります。年金事務所で渡された診断書様式だけで本当に良いのか?主治医の専門領域の診断書だけで良いのか?障害状態を正しく伝え、適切な審査や等級判定が行われるためには、提出する診断書の選択は非常に重要です。

依頼時の留意点

まずは、ご自身で「障害年金の請求をしたいから、診断書を書いていただきたい。」旨、意思表示を行ってください。それが困難な場合はご家族などに同行してもらいましょう。ご家族以外で同行される方は、普段からあなたの生活振りを知り、実際に援助もされる方が適任だと考えます。特別な事情がなければ、社会保険労務士がこの段階から患者と主治医の関係に立ち入ることには私は賛成できません。

主治医に障害年金受給の意思を真摯に伝えられることが重要ではないでしょうか。先生の理解と協力なしには適切な診断書は取得できないのですから。窓口に診断書の用紙を渡すだけの「丸投げ」は避けるべきです。

* 主治医が診断書の作成を依頼しても拒まれた場合、その理由を確認することです。医師は正当な理由がなければ診断書の作成を拒むことはできないと医師法で決められています。感情的に受け止めず、ご家族や支援者などにも相談されたら良いでしょう。ご自身の状態が反映される診断書は主治医との信頼関係が基本だと考えます。そのことで病院を代わるのは避けるべきだと思います。

取得時の留意点

主治医に診断書を作成してもらったら、まずはその内容の確認をしましょう。医師は頭脳明晰なプロ中のプロですが、障害年金の診断書は苦手な方が多いようです。更に多忙でその他の書類作成も非常に多いためか誤記等が見受けられます。

明らかに誤字だと判断できる場合は訂正なしでも問題とされないのですが、現症日(診断書作成で診察した日)や発病日、初診日欄の確認根拠の記入不備があると年金事務所で受理されないことになりますから必須確認項目です。そのままですと再度年金事務所と病院を往復することになります。

「診断書の内容・評価が実際と違いすぎる。」と感じられたときは、主治医にそのことを伝えるべきです。主治医もあなたの生活を全てご存知ではないでしょうし、あなたが考えているほどに主治医は重いとは判断していないこともあります。どちらが正しいかではなく、まずはコミュニケーションが大切です。障害年金の診断書の評価が変更された、されないだけでなく、治療の現状や今後について互いの理解を深める機会でもあり、決して無駄な時間とならないのではないかと考えます。

私は、障害年金の診断書の作成依頼は、患者様と主治医とのコミュニケーションと互いに理解を深める機会の場でもあると考えます。この治療当事者関係に社会保険労務士が積極的に介入すべきではないと考えています。

診断書の日付など注意点

請求方法や請求の時期により診断書の日付や提出部数が異なります。
下の表をご覧ください。(「請求」は申請と同じとお考えください。年金は本来「請求」するものです。)

請求方法
障害認定日
から)
障害認定日
以降3月以内に作成(注1)
請求日以前
3月以内に作成(初めて1,2級を除く)
障害認定日請求(1年以内) 1通 不要
障害認定日請求
(1年経過後)
1通 1通(注2)
事後重症請求 不要 1通
初めて1、2級 不要 前発障害と基準障害(後発)のそれぞれ1通ずつ(注3)

診断書は、傷病がひとつなら通常1通です。でも、障害状態を適切に評価するために必要であれば、複数の診断書の提出も必要です。傷病が複数あり、それらを合わせた状態で認定(併合認定)を受ける場合は傷病別に提出することになります。

障害認定日から2年以上経過した障害認定日請求(遡及請求)は、障害認定日時点の診断書と請求する時点での診断書と計2通を提出します。この請求をする場合に必要な書類の詳細はリンク先をご覧ください。

障害認定日が初診日から1年6月経過した日ではなく、「治った日」、「障害認定日の特例」に該当する方の場合、その日以降3月以内に受診した際のカルテを基に作成された診断書を提出します。

(注1) 20歳前障害基礎年金の場合、例外的に20歳到達日前後3月以内、初診日から1年6月経過した日(通常の障害認定日)が20歳到達日後の場合は、障害認定日前後3月以内の時点となります。

(注2) 障害認定日から1年以上経過しても、障害認定日の特例に該当する場合、請求日以前3月以内現症診断書1通だけ(事後重症請求と同じ)で遡及請求が認められることがあります。障害認定日の特例時点で認定された等級のままで認定を受けることが条件です。例えば、初診日から1年6月経過前に心臓ペースメーカーを装着で3級と認定され、その後も3級のままで事後重症請求時点も3級での認定(2級には該当しないと)を受けいれる場合です。

(注3) 初めて1、2級は、65歳到達日の前日までに後発傷病(基準傷病)で初めて1、2級に該当した日が受給権発生日となります。そして、該当した日は、診断書の現症日(診察した日が診断書作成日ではない)や症状固定日欄に記載された日です。該当した日は過去に遡っても、支払いは請求した日の属する月の翌月からです。

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