障害年金関連重要通達Ⅲ

3.(1) ポリオ後症候群に係る障害認定について

庁保発第0217001号
平成18年2月17日

地方社会保険事務局長殿

社会保険庁運営部長

 これまで国民年金及び厚生年金保険におけるポリオ後症候群(以下「ポストポリオ」という。)の認定に当たっては、国民年金・厚生年金保険障害認定基準( 昭和61年3月31日庁保発第15号通知及び平成14年3月15日庁保発第12号一部改正通知。以下「認定基準」という。)に基づき、ポリオに起因する疾病としてポリオで初めて診療を受けた日をもってポス トポリオの初診日とする取扱いを行ってきたところである。
 しかしながら、ポストポリオについては、その発症の前提となるポリオとの間に相当の期間が経過し、かつ、その間に継続した治療の必要がなく、症状が安定していた後にポストポリオが生じたものであることから、今般、近年における医学的知見等を踏まえ、今後は、ポリオに起因する疾病としては取り扱わず、次により取り扱うこととしたので、遺漏のないよう取り計らわれたい。

1.要件
 以下の① ~ ④の全ての要件を満たした場合は、国民年金及び厚生年金保険の障害認定上ポストポリオとして取り扱うこととし、障害の程度の認定については、認定基準に基づいて行う。
① 新たな筋力低下及び異常な筋の易疲労性があること
② ポリオの既往歴があり、少なくとも一肢にポリオによる弛緩性運動麻痺が残存していること
③ ポリオ回復後ポストポリオを発症するまでに、症状の安定していた期間(おおむね10年以上)があること
④ ①の主たる原因が、他の疾患ではないこと
2.初診日
ポストポリオについて初めて医師の診療を受けた日とする。


3.(2) ポリオ後症候群に係る障害認定の取扱いについて

庁保険発第0217001号
平成18年2月17日

地方社会保険事務局長殿

社会保険庁運営部年金保険課長

「ポリオ後症候群に係る障害認定について」(平成18年2月17日庁保発第0217001号。以下「通知」という。)が、社会保険庁運営部長から貴職あて通知されたところであるが、今後のポリオ後症候群( 以下「ポストポリオ」という。)に係る障害認定の取扱いについては、通知のほか、下記の事項に留意し遺漏のないよう取り扱われたい。また、当該取扱いについて管下社会保険事務所及び市区町村に対して周知を図られたい。
なお、当分の間、ポストポリオに係る障害認定を行うに際しては、当職と協議されたい。
                           

1.ポストポリオに係る取扱いの見直しについて
いわゆるポストポリオとは、幼少期にポリオに罹患し、いったん回復して通常の社会生活を送っていたポリオの既往歴をもつ成人に見られる運動・呼吸など種々の機能障害についての総称である。
 ポストポリオについては、障害認定の取扱い上、これまで明確な定義がなされていなかったが、ポストポリオはポリオ罹患者に生じるものであり、ポリオがなければポストポリオを生じないという意味での因果関係があることから、従来は、ポリオに起因する疾病としてとらえ、ポリオで初めて診断を受けた日をもってポストポリオの初診日とする取扱いを行ってきたところである。
 しかしながら、ポストポリオに係る障害厚生年金支給に関する社会保険審査会での容認裁決や国会での議論等を踏まえ、今般、医療専門家から意見を聴取したところ、ポストポリオを生じる者は、過去にポリオの既往歴があるもののポリオウイルスは検出されないこと、相当な期間を経過した後に新たに筋力低下などの要素が加わることにより種々の機能障害が発生することが指摘されたところである。
 こうしたことから、医療専門家の意見を踏まえた上で、通知の1に該当する場合には、今後は、ポリオに起因する疾病としては取り扱わないこととしたものである。
2.ポストポリオの要件確認について
(1)各要件については、次により確認する。
① 新たに加わった筋力低下及び異常な筋の易疲労性については、診断書
② ポリオの既往歴があり、少なくとも一肢にポリオによる弛緩性運動麻痺が残存していることについては、診断書又は病歴・就労状況等申立書等
③ ポリオ回復後ポストポリオを発症するまでに症状の安定していた期間( おおむね10年以上)があることについては、病歴・就労状況等申立書
④ 新たな筋力低下や異常な筋の易疲労性の主たる原因が他の疾患ではないことについては、診断書
(2)(1)④に関してポストポリオであるか否かを判断する際に、ポリオに罹患した者が筋力低下や疲労を引き起こす疾患の例として医学的に挙げられるものは次のとおりである。
◎ 筋力低下を引き起こす疾患例
・絞扼性末梢神経障害
・多発性硬化症
・重症筋無力症
・パーキンソン病
・末梢神経障害
・神経根障害
・脊柱管狭窄症
・脊柱骨折、脊椎腫瘍、脊髄腫瘍
・筋萎縮性側索硬化症
・脊髄性筋萎縮症
・頸椎症性脊髄症
・腰椎症性脊髄根症
・変形性関節症
・廃用症候群
・脳血管障害
◎ 疲労を引き起こす疾患例
・悪性腫瘍
・慢性呼吸不全
・慢性感染症
・糖尿病
・うつ病
・心不全
・甲状腺疾患
3.周知について
本庁においては、関係医学会に対し、ホームページや会報誌掲載等による医療機関及び医師への周知について協力を依頼することとしているので、各地方社会保険事務局においても、都道府県医師会に対し会報誌掲載等による医療機関への周知について協力を依頼するよう努められたい。なお、協力を依頼するに当たっては、神経内科、整形外科、リハビリテーション科等を標榜する医療機関に対して周知が図られるよう留意されたい。

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