知的障害の認定基準について

  知的障害の認定基準では、冒頭、発症時期は「おおむね18歳まで」と述べています。 他の傷病とは違い、初診日に厚生年金加入でもその日が20歳未満であれば、障害厚生年金の請求は認めず、20歳前障害年金のみ対象とする取り扱いの基本的な考え方を述べています。

  知的障害は、他の傷病とは異なり初診日の証明も必要がないことから、その点からすれば請求手続きはスムーズに進められる病気と言えます。問題は障害の程度が2級以上に該当するかどうか?これが一番の問題です。障害年金の認定では検査数値が重視されますが、知的能力の検査数値であるIQのみでは認定しないと認定基準では述べています。

  IQが低くない、療育手帳の判定もAではないからと障害年金受給に不安を抱かれるご家族も多いのですが、日常生活で様々な局面で援助が必要な状態であれば支給が認められるでしょうし、意志疎通や社会性の面で支障がある方は認定可能性は更に増すと考えます。

 認定基準の詳細はリンク先の知的障害の認定基準をご覧ください。また、平成28年9月から知的障害も対象とされる新たな等級判定基準である「精神障害に係る等級判定ガイドライン」に基づき認定診査が行われることになりました。 

発達障害の認定基準について

発達障害は、20歳を超えた時点で発症することが少なくないことから、先天性疾患であっても、20歳後に初診日がありその日に厚生年金に加入中であれば障害厚生年金の請求が認められます。(知的障害を併発している場合を除く)

 発達障害の障害等級判定では、知的能力に問題はなくても社会適用の障害があり対人関係、コミュニケーション面での支障、問題行動による日常生活への制限(1級、2級)や就労制限(3級)の状況が決め手となります。また、うつ病などの他の精神疾患を併発することが多く、発達障害と併発する疾患とで総合的な認定が行われます。

 詳細はリンク先の発達障害の認定基準をご覧ください。また、平成28年9月から発達障害の等級判定については、「精神障害に係る等級判定ガイドライン」に基づき認定診査が行われることになりましたので是非ご覧ください。

自力で出来るからと諦めてはいけません!!

 知的障害や発達障害の障害の程度を評価(等級判定)する場合、他の疾患(精神疾患も含む)の評価とは異なる点が多いと考えます。

 障害認定基準の一般的な障害等級の例示にも有るとおり、日常生活を送るうえで様々な生活動作が自力では行えず、多くの場合、他の人の助言や指導なしにはできない状態が障害等級2級該当であり、ほとんど自力ではできない場合が1級に該当します。これが基本的な障害等級のイメージです。

 しかし、知的障害や発達障害では、「自力で行えない」=「自分でやろうとする意欲すらない」状態ではない場合も多いのです。自分でやれてもその出来栄えや結果は、通常期待されるようなレベルには達しないことが非常に多く、その後始末に家族が追われることになります。また、時に本人が事故やトラブルに巻き込まれる危険性すらあります。このような状態は、自力では出来ないと評価して良いでしょう。

 障害年金119が請求代理をさせていただいた事例でも、自発的な活動は可能ですが上記ような行動を繰り返す方は1級に認定されました。しかも、書類が受理されてから1月を待たずに支給決定されました。

 自発的に活動できるから、働きに出ているから、認定されないのではと不安になられたり金請求を簡単に諦めないでください。

初診日(他の精神疾患を併発した場合)

 知的障害や発達障害と診断される方は、周囲の無理解などが原因で他の精神疾患を併発される例が多い。また、発達障害と最初から診断されない場合が多く、初診時の病名、転院した病院の病名も違い、最終的に現在の病院で発達障害と診断されることが多いです。

 精神疾患の初診日は、最初に精神的な不調を訴えて受診した日と認定されるのが一般的ですが、知的障害や発達障害と他の精神疾患を併発した場合の初診日の認定は注意が必要です。以下、ご紹介します。

① 知的障害と診断され、更に次の精神疾患を併発した場合の初診日は?

・ うつ病、そううつ病を後に発症した場合は、知的障害の初診日、つまり誕生日。

・ 統合失調症を後に発症した場合、原則、それぞれ別々の初診日。(主治医が知的障害が原因で統合失調症を発症したと診断した場合、知的障害の初診日。) 

・ 神経症の場合、別傷病とし、それぞれの別の初診日となる。

・ 症状性を含む器質性精神障害やてんかんの場合も、別々の初診日

・ 発達障害の場合、知的障害3級該当だと初診日は誕生日で統一、不該当なら初診日は別々。

② 発達障害と診断され、更に次の精神疾患を併発した場合の初診日は?

・ うつ病、そううつ病、神経症を発症した場合、発達障害の初診日(診断名の変更と判断)

・ 統合失調症は、原則、別々の初診日。(主治医が発達障害が原因で統合失調症を発症したと診断した場合、発達障害の初診日。)

・ 症状性を含む器質性精神障害やてんかんは、別々の初診日(別の病気扱い)

・ 上記以外の精神疾患は、発達障害の初診日(診断名の変更と判断)

③ 次の精神疾患と診断された人が後に発達障害を併発した場合の初診日は?

・ 統合失調症の場合、統合失調症の初診日(同じ病気扱い)

・ 知的障害(軽度)の場合、知的障害の初診日(=誕生日)(同じ病気扱い)

* 以上が知的障害や発達障害と診断された方が他の精神疾患を併発した場合、日本年金機構の基本的な初診認定の考え方。実際には総合的な判断を行うとしています。「総合的」はどこでも見る言葉ですがその結果が予見できないないのですが、「例外的な認定もあり得ますよ」と言っているのだと私は解釈するようにしています。

知能指数や療育手帳との関係について(解説Ⅱ)

 知的障害は軽度と言われたから、IQは50以上だから、療育手帳はAではなくBだからと障害年金の請求を諦めるのは早すぎます。一般の高校を卒業された方も受給されていらっしゃる例もありますので。

 認定基準にも書いてあるように、日常生活能力の低下等で生活(社会生活も)することの困難さが障害等級に該当する程度なのかが重要なのです。

働いていると認定は通らない?(解説Ⅲ)

・ 認定基準にはそのようなことは一切書かれてはいないのですが、他の精神疾患の場合には就労の事実は認定のマイナス評価要素となっていると言って良い状況です。知的障害もある時期に更新時の支給停止が増加し、行政訴訟が提起されました。そのような事情もあり、専門家会議が開催され知的障害の認定基準が見直され平成23年9月から改正されました。参考リンク:改正案及び診断書改定案

・ 障害者枠でなく一般採用で就労されている方も障害年金の受給は可能であることが認定基準に明記されました。平成28年9月実施の等級判定ガイドラインの総合評価の際に考慮すべき要素の具体例でも就労支援A,Bによる就労については1級又は2級の可能性を検討する旨記載されています。認定基準やガイドラインの文言が実際の認定にも反映されることを期待します。

* 診断書の「就労状況」欄について

 事実を報告する基本的な考え方からすればこの欄に記入した方が良いと考えますが、説明には「できるだけ記入するようお願いします。」とあり。記載は任意です。収入だけしか書かれていなかったり、特に収入が(比較的)多い場合、そのことを持って就労可能で生活能力も高いと認定上不利に評価されてしまのでは と危惧されます。

  職場での就労上の問題点(欠勤・早退・遅刻等)や就労継続についての職場の・援助、配慮措置等について可能な限り具体的に記載していただくようにしては如何でしょうか。病歴・就労状況等申立書にも詳細に記載することも欠かせません。

請求について

* 知的障害の認定日請求について

・ 知的障害と診断された方は、事前に障害年金についてご承知だった場合を除けば、20歳到達前後3月以内に受診された方は少なく、受診していたとしてもカルテが廃棄されたり、病院が廃業したり等の理由で診断書が提出できない場合が非常に多いです。

・ 知的障害の症状は生涯を通して変化がないと言うのが医学的な定説であり、診断書が提出できなくても20歳到達時の障害状態の認定は可能だとする通達も過去にはありました。また、過去の再審査請求でも診断書なしで請求を認めたこともありましたが、現在は診断書なしで支給が認められることは、行政段階では不可能と言って良いでしょう。 幣事務所も証言や申立書を提出し、再審査請求しましたが、診断書以外では障害の程度を判断できないとの理由で請求は退けられました。

・ 障害年金が新聞等でも報じられることが多くなり、知的障害や、特に発達障害での請求が増えていると感じます。しかし、知的障害は20歳到達時に受診していない方が非常に多く、当時の診断書が提出できないため事後重症請求しか認められないケースが非常に多いのです。請求する人間に全て証明責任を負わせ、証明する資料の提出ができないのならダメ、後は裁判しかないような状況にはやりきれない思いがします。



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