障害認定日の特例、「治った日」とは?
障害認定日は、初診日から1年6月を経過した日とするのが原則ですが、1年6月を経過する前に下の表にあるような状態となった場合は、治癒(治った)したとして該当した日を障害認定日とするのが障害認定日の特例です。
なお「治癒した日」「治った日」(注1)とは、医学的に治癒したと診断された日、または治療を継続しても効果が望めない状態となり、症状が固定した日を言います。
No. | 施術 | 傷病が治った日 =障害認定日 とされる日 |
1 | 人工透析療法 | 療法開始から3月経過した日(注2) |
2 | 人工骨頭または 人工関節挿入置換(注3) |
挿入置換日 |
3 | 人工弁、心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD),CRT,CRTD装着、人工血管(ステントグラフト) | 装着日 |
4 | 心臓移植、人工心臓 | 移植日または装着日 |
5 | 胸部大動脈解離、胸部大動脈解離で人工血管、ステントグラフトの挿入置換 | 施術の行われた日 |
6 | 人工肛門造設 | 施術の行われた日から6月経過した日(注4) |
7 | 尿路変更術 | 施術の行われた日から6月を経過した日(注4) |
8 | 新膀胱増設 | 施術の行われた日(注4) |
9 | 人工肛門造設と 人工膀胱造設 |
人工肛門造設から6月経過した日又は新膀胱を造設した日のいずれか遅い日 |
10 | 人工膀胱造設と 尿路変更術実施 |
遅い方の施術の行われた日から6月を経過した日 |
11 | 人工肛門造設し、完全排尿障害にある場合 | 施術の行われた日または完全排尿障害に至った日のいずれか遅い日から6月を経過した日 |
12 | 切断・離断 | 切断・離断の日 |
13 | 切断・離断(障害手当金相当とされる場合) | 創面(傷口)治癒日 |
14 | 喉頭全摘出 | 摘出した日 |
15 | 遷延性植物状態 | 障害状態に至った日から3月を経過した日以降に、医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められた日 |
16 | 在宅酸素療法 | 療法開始日(常時使用) |
17 | 脳血管障害 による 運動機能障害 |
原則、初診日より6カ月経過日以後(注5) |
18 | 気管切開下での人工呼吸器(レスピレータ) 使用等 |
原則、6カ月経過日以後(注6) |
(注1)厚生労働省の認定基準の解説では、『「治った」状態とは、器質的欠損もしくは変形又は機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然経過により到達すると認められる最終の状態(症状が固定)に達したときに至った場合をいう。』とされています。(平成24年9月改正により削除)
(注2)人工透析治療の場合、初診日から1年6カ月経過後に人工透析を開始したらその時点で請求が可能です。人工透析で障害年金の請求ができるのは、治療開始から3ケ月経過しなければならないと誤った理解をされる方が未だにいらっしゃいます。3月待たなければならないのは特例の場合だけです。
(注3)肘関節の人工関節そう入置換の場合、上腕尺骨関節のみ3級。上腕橈骨関節骨頭への人工関節設置のみは3級不該当となる。
(注4)初診日から1年6月を超える場合は除かれます。
(注5) 「医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるとき」と認定基準にあることから、症状固定している場合です。6月経過後、機能回復目的のリハビリを受けている場合、主治医が診断書に「症状固定」と記載しても6月経過後の症状固定と認めませんので原則の障害認定日での再度請求しなければなりません。機能維持目的のリハビリの場合、認定される場合もあります。
(注6)神経系の障害で、現在の医学では、根本的な治療方法がない病気で、今後の回復が見込めず、レスピレーター使用、胃瘻等の恒久的な措置が取られ、日常の用を弁ずることができない状態と認められる場合です。平成24年認定基準改正の際、「神経系統の障害」で明記されたもの。