障害年金とは? 目次

  1. 障害年金とは? 

    障害が原因で労働が著しく制限される方、労働が困難な方に対する所得保障制度として認知され受給を希望される方が増えています。生活保護とは違い使途の制限もない現金を支給される障害年金ですが、それだけに受給にはいくつかの条件があります。

  2. 対象とされる傷病は?

    短期間の治療で治った傷病や精神疾患の一部を除くすべての傷病が対象。難病でも受給できないケースもある反面、病名に「軽度」とつけられても受給できるケースもあります。

  3. 名称の違い、種類について

    病名や障害状態が同じでも初診日に加入していた年金制度によって障害年金の名称や種類が違い、複数の障害年金が受給できる場合もあります。

  4. 受給できる障害年金の金額はいくらか?

    令和元年11月末時点の新規支給決定者の平均月額は、障害年金97,099円。障害基礎年金71,207円(厚生年金保険・国民年金事業統計 / 厚生年金保険・国民年金事業月報(速報) / 令和元年)でした。
    年金保険料を納付した月や額が少ないから年金額も少なくなるとは限りません。受給される方の責任ではない計算方法で算出されるからです。(なお、障害年金は非課税扱いですから確定申告も不要です。)

  5. 申請のやり方も多様で複雑、難易度UP

    手続きは早く終えることが重要です。でも、申請される人に責任や原因はないのに受給額に何百万もの差が生じることもあります。

障害年金とは?

障害年金は、ケガや病気が原因で精神や身体に障害を負い、仕事をするとき、また、日常生活を送るうえで支障がある(障害等級に該当する) と判断された場合、年金や一時金を支給する制度です。65歳後の受給には制約もありますが、収入、資産や家族構成は受給可否には影響しません。原則的な受給資格(要件)は以下の3つです。

  1. 初診日証明要件;最初に受診した日がいつだったのか?この日が特定できる証明書等を提出できること。
  2. 保険料納付要件;初診日前日時点で年金保険料の納付月数が年金法で定める月数を超えること。(ただし、初診日が20歳前の年金非加入期間にある場合、保険料納付はゼロでもよい。)
  3. 障害等級該当要件;障害の状態が、障害認定日(原則、初診日 から1年6月経過した日。ただし、初診日が20歳前の障害年金は20歳到達日。)に受給可能とされる障害年金の障害等級に該当すること。
    なお、障害の状態が障害認定日時点では受給可能な障害等級に該当しない場合、申請する時点で該当すること。

障害年金は、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳や他の福祉制度とは異なり、民間の生命保険や損害保険に似ていると思われたのではないでしょうか。これは年金制度が保険の仕組みを採用していることが原因です。保険料納付要件が問われない、20歳前障害基礎年金が例外的な存在なのです。

この保険料納付要件を確認する基準日となる日が初診日になりますが、初診日の証明も医師法でカルテ保管期間が5年とされていることで証明が困難なケースも多いのです。

保険料納付要件については、国の制度周知の不足等もあり未納期間が多く請求は断念せざるを得ない方、保険料納付要件は満たしているはずなのに初診日の証明が困難な方、無料相談や手続き代理業務の経験からこのような方々は多いと感じます。

「順番が違う!」と思われるでしょうけれど、障害年金申請手続きでは、最初に病院で初診日証明の可否と年金事務所での保険料納付要件(受給資格)の確認作業を優先しなければなりません。

一般の方の想定外と思える受給要件、その後の手続きも長文の病歴・就労状況等申立書作成や提出書類の種類も多く、取り直しや書き直し等々で病院や手続き窓口に何度も足を運ばなければならなくなります。年金の「締め日」は月末です。今月の末日までに申請書類が受理されず、月が変わり来月に受理されると1月分年金がもらえなくなってしまいます。申請書類提出完了までには大変な労力と時間、更に気苦労も相当なものです。

障害年金の提出書類は記入不備(漏れ、記入ミス等)がなく窓口で受理されれば手続き完了と言えないのです。受理されれば、後は年金証書が郵送され、年金事務所で試算した年金見込み額通りに振り込まれるのを待つだけの、老齢年金や遺族年金等の手続きとは違います。受理された後でも追加書類の提出を求められるケースがあります。審査はほぼ100%と言ってよい書類審査だけです。それだけに障害の状態、治療、日常生活状況の経過等が審査する認定医や審査担当に理解されるような書類を作成しなければなりません。

不支給や障害等級の決定の取り消しを求め不服申立て(=審査請求、再審査請求)も可能です。審査請求件数は増加していますが、現状ですと決定をくつがえすことが難しい状況です。

やはり最初の申請段階で問題点を把握し、その対策としての周到な手続きを進めること、これが受給の最善の策だと考えます。

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対象とされる傷病は?

ほとんどの傷病が対象となります。(参考リンク:障害年金の対象傷病は多い!

○ 対象外として障害認定基準に記載されている傷病名や症状は、以下の通りです。

・ 鼻腔機能の障害            ; 嗅覚脱失
・ 精神の障害            ; 人格障害(原則)、神経症(原則)
・ 神経系統の障害          ; 疼痛(原則)
・ 呼吸器疾患による障害 ; 加療による胸郭変形
・ 肝疾患による障害   ; 慢性肝疾患(原則)
・ 高血圧症による障害  ; 単なる高血圧だけ

(注)神経症や人格障害は原則認定対象外となっています。しかし、「精神病の病態を示しているものについては」認定対象となります。これに該当する場合、診断書に付属する記入説明にありますが、診断書に ①精神病の病態を示している旨記載があること。② その精神病の病名コードも記載すること。が必須条件です。更に、その事実を詳細に説明する病歴・就労状況等申立書の作成等も欠かせません。(参考リンク;精神障害申請の留意点)また、自律神経失調症」や「抑うつ状態」、「PTSD」(病名ではなく症状なのですが、障害年金119の初回相談ではかなり多い病名です。)も認定基準には明記されていませんが認定対象外の病名です。

精神疾患の場合、診断書の病名欄の下にICD-10コードを記入することになっています。このコードでご自身の病気が認定対象かどうかわかります。治療途中で認定対象外だった病名から認定対象とされる病名に変わることもありますし、病名不明でもその症状から相当因果関係があると判断され認定対象となることもあります。

(注2)「疼痛」、障害の原因が痛みが原因の場合、神経症の認定基準に例示されたような状態でない場合、障害等級に該当しないと判断されます。病歴・就労状況等申立書に「痛みが原因で・・・が動かせない。」等の記述があっても、認定審査では評価にマイナス要素となることも想定されます。

○ 認定対象傷病であれば、治療が困難で生死に関わる難病やガンと生死に直ぐに結びつかない傷病名と受給可能性を比較すれば、一般論としては、病名だけで受給可能性に差は生じないと言えます。その傷病固有の症状から生じる就労制限や日常生活制限、援助の状況等から障害状態が総合的に判断されるからです。

傷病や障害状態によって提出する診断書の書式が違いますし、障害によっては複数の診断書を提出することも必要な場合があります。重症度を判断できる検査数値や手術日等の記載は欠かせませんが、審査を担当する認定医等に就労や日常生活状況の不便さを適切に伝えること、これは全ての障害に共通することです。

無料の行政窓口の説明だけでなく、障害年金専門の社会保険労務士に日常生活での状態など詳しく説明され、アドバイスを受けてくださし。

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障害年金の種類

障害年金は、初診日に加入していた年金制度で障害年金の種類が違い、障害基礎年金、障害厚生年金(一元化後の共済年金加入者も対象。)、( (旧)障害共済年金の3種類があります。

① 年金の制度と加入者の違い

・ 国民年金; 厚生年金や共済年金(公務員、私学職員等)に加入していない20歳以上60歳未満の方が加入する年金です。具体的には、自営業者、パート、アルバイト、学生、配偶者の扶養になってい る方(主婦、主夫)などの方々です。

・ 厚生年金; 民間の厚生年金適用事業所に勤務し一定の加入条件に該当する方、公務員(みなし公務員も含め)、私学教職員等で共済年金加入者ご本人が加入する年金です。なお、これらの方でも20歳から60歳までの厚生年金加入期間は、同時に国民年金にも加入していることになります。

初診日に厚生年金加入し障害年金の支給が認められた場合、障害厚生年金だけでなく障害基礎年金が支払われるのです。(扶養となっている配偶者は厚生年金加入ではなく、国民年金加入です。自分で納付しなくてもは配偶者の厚生年金から国民年金の保険料を納付しています。)。

・ 旧共済年金; 公務員や私立学校職員が加入する共済組合員の方、ご本人のみ(扶養配偶者は厚生年金と同じ)。

注; 20歳前に初診日のある方で年金非加入の場合、保険料を納付していなくても障害基礎年金の受給対象となります。20歳前に厚生年金や共済年金に加入し、その加入期間に初診日があった場合、障害厚生年金の請求資格が認められます。

② 支給年金の種類と障害等級との関係

障害
等級
初診日に加入していた年金制度
国民年金 厚生年金
一元化後
旧共済年金
1級 障害基礎年金 障害基礎年金
障害厚生年金
障害基礎年金
障害共済年金
2級 障害基礎年金 障害基礎年金
障害厚生年金
障害基礎年金
障害共済年金
3級  ------ 障害厚生年金 障害共済年金
3級未満で治癒  ------- 障害手当金 障害一時金

(注)国民年金の障害基礎年金には、20歳前に初診日があり年金非加入者も含みます。

(注)65歳以後も厚生年金加入中で、その期間に初診日のある方が1級または2級の障害状態となられた場合、障害厚生年金が受給できます。しかし、すでに老齢基礎年金の受給権がある方は、障害厚生年金だけとなります。(障害基礎年金は支給されません。)

障害年金の金額

* 障害年金の受給額は、初診日に加入していた年金や初診日から1年6月経過した日(障害認定日)の時期、その他の理由があり個々に違いが生じます。

  • 重い障害等級であれば年金額は多くなり、障害等級2級、1級で加算対象の配偶者や子がいる方には基本額に上乗せした額が支給され ます。
  • 障害基礎年金の基本額は全員同じ金額です。
  • 障害厚生年金の年金額は個々の加入月数や保険料によって違います。そして、障害認定日のある月までしか計算対象としません。年齢が高くても初診日が若い頃だったら、支給額は年齢の割に低い場合があります。

(1)障害基礎年金

障害基礎年金は障害等級1級・2級の方に支給され、その方に子があれば子の加算額が付きます。

障害基礎年金の加算額を表示する画像です。

① 障害基礎年金額

障害等級 年金額(令和3年4月~)
障害基礎年金
1級
976,125円
(2級の1.25倍、
月額81,343円)
障害基礎年金
2級
780,900円
(月額65,075円)

②子に対する加算額

対象者 加算額(令和3年4月~)
2人目まで 1人当たり 224,700円
(月額18,725円)
3人目以降 1人当たり 74,900円
(月額6,241円)

(注)子は18歳になった後の年度末(3月31日)を過ぎていないこと。1級または2級の障害等級に該当する子は20歳まで加算されます。

なお、障害年金受給後に結婚した場合、配偶者や子も加算対象となります。(平成23年4月1日、障害年金加算改善法施行により)

(2)障害厚生年金

障害厚生年金は障害等級3級の方にも支給され、3級未満で症状が固定された方には一時金として障害手当金が支給され ます。最低保証額が設定され、 算出された年金額が最低保証額を下回る場合、計算された計算額ではなく、最低保証額が支給されます。また、年金計算に算入される加入月数が300月に達しない方は300月として計算されます。

65歳以上で障害基礎年金が支給されず障害厚生年金だけもらっている方(1,2級に該当しない)は、障害厚生年金3級の最低保障額が支給されます。

2級、1級の方には障害基礎年金もあわせて支給され、「配偶者加給年金」も加算されることがあります。

障害厚生年金の加算額を表示する画像です。

① 年金額

障害等級 年金額(令和2年4月~)
障害厚生年金
1級
報酬比例部分の年金額の1.25倍
障害厚生年金
2級
報酬比例部分の年金額
障害厚生年金
3級
報酬比例部分の年金額
( 最低保障額585,700円
月額48,808円)
障害手当金 報酬比例部分の年金額の2倍
(最低保証額1,171,400円)

○ 報酬比例の年金額 = (A + B)

A = 平均標準報酬月額 X 7.125/1000
 X   C(平成15年3月以前の加入月数)

B = 平均標準報酬額 X 5.481/1000
 X  D(平成15年4月以後の加入月数)

ただし、(C+D)が300月、未満のの場合、報酬比例の年金額に300/(C+D)を乗じた額となります。
例:(C+D)=128月の方は、(300÷128)を乗じます。

* 加入月数は、加入開始月から障害認定日のある月までの合計加入月数です。

② 配偶者加給年金額

 224,700円(月額18,725円)

1級または2級の障害厚生年金を受給している方に、生計を維持(生計が同じの意味)されている65歳未満の配偶者があるときは、配偶者加給年金が加算されます。その加算対象配偶者が障害年金や一定の加入月数のある老齢厚生年金を受給することになったときは、支給が停止されます。

申請も多様で複雑、難易度も差がある。

障害年金の仕組みが複雑で受給できる種類、金額も請求する人によって大きな違いがあること等の基本知識はご理解いただけたと思います。3つの要件確認が済めばいよいよ申請の手続き開始です。(なお、「申請)が一般的に使われますが、以下の説明では「請求」と文言を変えますのでご了承をお願いします。)

しかし、請求方法にも違いがあり、それによって受給できる額にも大きな差が生じますので慎重な対応が必要です。反面、可能性が極めて低い高額受給の請求に固執し提出が遅れ、結果的に確実に受給できた年金を受給し損なってしまう事例もあり、請求方法の決定は難しい判断だと言えます。

提出が求められる障害認定日時点の診断書の提出可否、一つの障害か複数障害かどうか、複数障害の場合は初診日が同じかどうか等々により、申請方法が違ってきます。詳細はリンク先の説明をご覧いただくとして、基本的な説明を以下述べます。

① 障害認定日請求;原則の障害認定日時点での審査を受けるための請求で、障害認定日から1年を経過する前に行う場合です。提出する診断書はその時点のもの。なお、20歳前に初診日がある20歳前障害基礎年金の場合、障害認定日は20歳の誕生日の前日となります。

② 遡及請求;初診日から2年6月経過した後で請求する場合は、更に現時点の診断書も提出することになります。障害認定日時点での支給が認められた場合、時効とならない5年分の年金が遡って受給できます。

③ 事後重症請求;障害認定日当時は障害等級に該当しなかったものの、その後傷病が悪化、障害認定日当時の診断書がその他の理由で提出できない方が行う請求です。診断書は現時点のものです。遡って受給はできず請求した月の翌月が支給開始となります。

④ 初めて1,2級の請求;最初に発症した傷病では障害等級の3級以下だった方が、その後別の傷病を発症され、前発と後発の障害を併せたら障害等級が1級または2級に該当する場合に行う請求です。受給資格は後発障害で判断し、診断書は現状の診断書を障害ごとに提出します。支給開始は事後重症と同じです。

⑤ 併合認定;①や②の請求で複数障害がある場合に複数の診断書を提出し、複数障害の状態を併せて障害等級を判定するように求める請求です。ひとつの障害だけで請求する場合と比べれば、より受給可能性が高くなり、より重い等級(=受給額増)で認定されることも期待できます。

以上、5つの申請についてご説明しました。概要ご理解いただけましたでしょうか。最も受給難易度の高い請求は、②の遡及請求です。

過去の記憶をたどり、さまざまな資料を探しだすことが困難を極め、カルテの法定保存義務期間5年の壁、病院の廃業等々による診断書の取得の困難さもあり、断念せざるを得ないケースが後を絶ちません。(特定の傷病、特殊な受診状況等でその時点の診断書提出が不能でも受給できたケースの代理も経験していますが、例外的な事案と言えます。)また、請求できたとしても厳しい結果となることが多いと感じます。請求の遅れ、支給額の多さが理由でしょうか。

「申請書類提出の月またぎはダメ。手続きは早いほどよい。」と述べました。早く年金が受給できます。手続きする上で肝に銘じておかなければならないことですが、常にそうとはいえません。これが障害年金請求手続きの難しさです。病状、経過や年金加入歴などが個々に違い、的確な請求時期の判断を誤れば、本来受給できる年金受給総額が減ってしまうことにもなりかねないからです。

当事務所の事例をご紹介します。障害認定日後に複数障害を併発、事後重症請求の複数診断書の現症日を病院の事情で合わせられず、そのまま提出すると受給額がひと月間だけ減ってしまうケースがありました。

ご家族も含め申請時期を検討しガンで請求手続き代理業務を受任した方の例です。決定の通知が来ない頃に急激に悪化され、当初想定したよりも重い等級に該当する状態となられたのです。明らかに障害状態が重くなった場合、申請後1年経たなくても重い等級に変更する請求(額改定請求)が可能です。しかし、ガンはそのような請求はできません。額改定請求後、支給決定を待たずに亡くなられてしまわれたのです。

障害年金の請求は、請求される方の発病から現在までの経過や傷病特性、医師の所見、予後等々を考慮し、最善の請求方法で手続きを進められることが大切です。私の説明が障害年金制度の一助となれば幸いに存じます。なおご不明な点等がございましたら、無料相談フォームにてご相談をお寄せください。

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