ICD-10 病名コードは重要です!
精神疾患の障害年金診断書は、病名欄にICD-10の病名コード(精神疾患分類)を記載することになっています。障害年金を請求しようとお考えの方が、ICD-10のどのコードに該当するかは知っておかれるとよいでしょう。このページでICD-10コードをご紹介します。
一点注意すべき点がありますのでご説明します。障害年金は支給対象外の傷病が非常に少ないのが特徴です。『原則として対象とならない』と認定基準で記載される傷病が一部あります。原則、対象外とされる疾患は、ICD-10コードで神経症・神経症圏に属する精神疾患です。
「原則、認定対象外」の病名コードが付された場合、認定対象病名の診断書とは異なる記載が加えられないと支給対象とならないこともあり得ます。「統合失調症他」または「気分障害」の病態を示しているときは、「備考欄」にその旨の記載と病態のICD-10コードを記入しなければなりません。診断書の「記入上の説明」にも記載されています。
指示通りに作成された診断書は年金事務所や役所の窓口で受理されます。しかし審査の結果、認定対象傷病として必ずしも支給決定されるとは限りません。
精神疾患の障害年金認定に重大な影響を与えるICD-10コードについてご説明します。
*なお、以下の説明は、講談社現代新書「ビジネスマンの精神科」(岩波明著)を参考としております。精神疾患のICD-10
ICDとは、WHO(世界保健機構)が定めた診断基準による分類です。ICD-10は、1990年のWHO総会で制定されたもので、改定第10版にあたるものです。
*ICD-10による精神疾患の分類
- F0 症状性を含む器質性精神障害
- F1 精神作用物質使用による精神及び行動の障害
- F2 統合失調症、統合失調型障害及び妄想性障害
- F20 統合失調症
- F21 分裂病型障害
- F22 持続性妄想性障害
- F23 急性一過性精神病性障害
- F24 感応性妄想性障害
- F25 分裂感情障害
- F28 他の非器質性精神病性障害
- F29 特定不能の非器質性精神病
- F3 気分(感情)障害
- F30 躁病エピソード
- F31 双極性感情障害(躁うつ病)
- F32 うつ病エピソード
- F33 反復性うつ病性障害
- F34 持続性気分(感情)障害
- F38 他の気分(感情)障害
- F39 特定不能の気分(感情)障害
- F4 神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害
- F40 恐怖姓不安障害
- F41 他の不安障害
- F42 強迫性障害(強迫神経症)
- F43 重度ストレスへの反応及び適用障害
- F44 解離性(転換性)障害
- F45 身体表現性障害
- F48 他の神経症性障害
- F5 生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群
- F6 成人の人格及び行動の障害
- F7 知的障害(精神遅滞)
- F8 心理的発達の障害
- F9 小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害
DSM-Ⅳ分類(参考)
DSMは、アメリカ精神医学会が定めた精神疾患の診断指針を示したものとされ、現在は4回目の改定がされています。
診断の手法がICDとは異なり、具体的な症状が項目として列挙されています。該当項目数が基準以上あれば病名が決定されるのです。
*DSM-Ⅳのよる精神疾患の分類
- 通常、幼児期、小児期、または青年期に初めて診断される障害
- せん妄、認知症、健忘性障害、および他の認知障害
- 一般身体疾患による精神疾患
- 物質関連障害
- 統合失調症および他の精神病性障害
- 気分障害
- 不安障害
- 身体表現性障害
- 虚偽性障害
- 解離性障害
- 性障害および性同一性障害
- 摂食障害
- 睡眠障害
- 他のどこにも分類されない衝動制御の障害
- 適応障害
- パーソナリティ障害
- 臨床的関与の対象となることのある他の状態