加入記録を突き止め認定された事例
発病から数十年経過、転院も4回ある方の事例です。
両手、両足首の先に痛みがあり動作も困難で、室内で立ち上がる時や移動の際も伝い歩きが必要で日常生活に支障のある方でした。
診断書等必要書類はすでにご家族で取得済みでしたが、初診日証明は取得できないまま中断。手続きは一向に進めないまま時間だけが過ぎてしまいます。
困り果てたご家族から手続き代理を依頼されました。調査を進めると次のような問題が判明したのです。
① 初診日が当初の本人申し立ての日付と違っていたこと。(初診証明取得不能は同じまま)
② 変更後(本来)の初診日では、保険料納付要件(3分の2、1年)を満たさないこと。
診断書や受診状況等証明書の再作成で追加費用が発生すること。(些細なことではありません。私は気になります。)
・ 初診日は当初伺っていた初診日も、調査開始後に判明した初診日も、証明する領収書等は見つけられませんでした。病院を何度も訪問した結果、受診していた可能性を示唆する資料が残っていることを知り開示請求しました。
・ 次の問題は②でした。納付された期間では3分の2要件に12月不足していたからです。
残る可能性はカラ期間があるかどうか?専業主婦だったが未加入とされた期間です。ご主人に年金加入状況をお聞きすると、学校をでてから見習いの後独立し会社勤めはまったくないとのことでした。何度も確認すると同じ答えが返ってくるだけでした。翌週に電話した時、アルバイトならしたことがあるとのことで、働いた期間や勤務先名、所在地を記憶の範囲でお聞きしました。
アルバイト期間が「宙に浮いた」厚生年金保険料納付記録と結びつかないか?
すぐに、年金事務所で厚生年金の加入期間確認の届けを提出しました。ご主人様の厚生年金加入期間が新たに20月以上見つかり、「カラ期間」と認められました。カラ期間は保険料納付義務期間に算入しなくてもよい期間です。納付率計算の分母が減るので、納付率は3分の2要件を満たしていることになります。
(最近は、「宙に浮いた年金記録」の該当者は少なくなって来ましたが、若いご依頼者さまでも、学生期間や海外在住期間等々を確認する必要があるケースもあります。)
障害基礎年金2級で認定されました。とても協力的なご家族でしたし、私自身も感じるところがあり、通常よりも時間と作業量もかかる事案でしたが、幣等事務所の基本料金・年金ひと月分を申し受けました
関節リウマチと関連がある持病を併発された方の事例
請求される病名が多ければそれだけ認定される可能性が高くなるだろうというお考えは併合認定などに該当する場合には正しいと言えます。
だから、現在までに診断された病名をすべて請求書他に書かれる方も多く、年金事務所などの窓口やネット等の情報で、病名が多ければ有利と信じる方の相談があります。
病名が複数あると病歴・就労状況等申立書に病名ごと別々に経過等を書かなければなりません。手間が増えるだけで複数提出しても有利とは限らないのです。でもその程度で済めばよいですが、それでは済まない場合があります。
特に関連する病名をすべて書いたことが原因で不支給とされたり、低い等級で認定されたりするからです。
それは、差し引き認定が行われることもあるからです。詳細はリンク先をご欄ください。
障害状態の原因が関節リウマチと併発する病気や怪我の後遺症等もあると仮定します。全体の症状の内、関節リウマチが原因となる障害が何%、併発する病気は何%と切り分け、請求する関節リウマチ以外の障害の程度を差し引き等級判定が行われるのです。これが差引認定です。
病名は多くても必ずしも有利とは言えないことがご理解いただけると思います。
関節リウマチの認定サポート事例のご紹介をします。
ご依頼者は主婦で、関節リウマチで障害認定日請求(遡及請求)も可能で、2級以上に該当する可能性の高い方でした。しかし、差引認定が懸念される事案でした。
関節リウマチと関連のある病気を20年ほど前に発症され、過去に取得された身体障害者手帳もふたつの病名が記載されていました。別傷病と共通する症状があります。主治医から以前、「別傷病は良くなっている。」と言われた記憶はあるものの、はっきりしません。
主治医は診断書を依頼する頃は出張が多い方で、海外出張も重なり診断書作成も先伸ばしされるような状態でした。一番詳しい先生だからとご依頼者様は待つことにされました。遠隔地のサポートですから出張も必要なレベルです。出張すれば交通費等の費用負担が発生します。診断書の依頼に際しては、詳細な資料を作成し、ご依頼者様とご主人様に請求の留意点も説明。主治医へ書類を渡される際には、ご依頼者さまからも補足説明も行っていただきました。
年金診断書に身体障害者手帳とは違い、障害認定日時点・現在の病名は関節リウマチのみ。別傷病による症状はないとの見解が診断書に明記された。
結果、2級の遡及請求が認められました。弊事務所の成功報酬は、規定の初回振込額の5%相当額をお振り込みいただきました。
超多忙な医師に対しては、患者の普段の生活状況を伝え、請求上の問題点としてどのようなことがあるのか、依頼は適切・正当な内容であることを説明した書類の提出、ご本人さまにも趣旨を理解していただき補足説明もしていただく、社会保険労務士が主治医と必ずしも面談をしなくても、難しい判断が求められる症例でも、適切な診断書を作成していただけることを再確認した事例です。