差引認定とは?

複数の障害がある場合、通常は併合認定が行われます。それぞれの障害状態を併せ、単独の該当等級よりも重い等級に認定されることがあります。また、障害等級3級以下だった方に新たな障害が加わり、併合すると2級以上に該当する場合は、初めて2級(1級になる場合も。)の認定を受けられます。

差引認定は併合認定・初めて1、2級以上などとは違い、上位の等級に上がるような認定手法ではありません。現在の加重された障害の状態から以前の障害状態を差し引くもので、障害年金を請求する側からすれば不利な結果をもたらすケースが多く見られます。差引認定の手順についてご説明します。

併合判定参考表(平成29年9月改正)から前発、後発それぞれの障害状態に応じた号数を特定し、号数に応じた後発の「現在の活動能力減退率」から、「前発障害の活動能力減退率」を引き差引残存率を求め、「差引結果認定表」から差引残存率に対応する障害等級を確定します。確定した等級があらたな障害等級となります。

しかし、初めて1,2級に該当する場合、差引認定はしません。前発障害が3級以下だったが、後発と合わせ2級以上の状態となったケースです。

差引認定の事例

差引認定の対象となるのは、初診日の加入年金が違う障害です。初診日が国民年金加入中や20歳前の年金未加入期間中の障害者だった方が、その後厚生年金加入した。同じ身体部位(注1)に新たな(後発の)傷病を発症し障害状態となったようなケースです。

(注1) 眼と耳は左と右とは同じ身体部位ですが、上肢と下肢は右と左は別個の部位として扱われます。ただし、たとえば右股関節に障害があり、さらに、右膝関節の障害が加わった場合には同じ身体部位とされます。

・ たとえば、視力障害。
 厚生年金加入前に左目の視力低下となり、厚生年金加入後に今度は右目の視力が低下。右眼視力低下時点の両眼の現在活動能力減退率から、厚生年金加入前の左目障害の前発活動能力減退率を引いた差引残存率で障害等級が決められます。

・ 事例のふたつ目、肢体の障害。
 前発障害は保険料納付要件を満たしているが障害年金は支給されなかった方に、更に障害が加わったとします。(後発障害は保険料納付要件を満たしていないことにします。)
 障害年金の診断書を取得したら、前発障害と後発障害と合わせた状態の評価で2級相当の内容だった。しかし、このようなケースでは初めて2級の認定はできず、差引認定が行われます。

*  後発障害の状態が、併合判定参考表の「障害の状態」に記載された内容と一致する場合、後発障害の「現在の活動能力減退率」が、後発障害から前発障害を差し引いて求めた差引残存率よりも大きくなれば、後発障害の「現在の活動能力減退率」で等級判定します。 

差引認定の対象は?

* 前発と後発の併合2級は対象外 ; 前発障害、後発障害が併合認定されて2級以上(=初めて1、2級)であれば、差引認定の対象とはなりません。前発、後発の加入制度の違いは問題とはならないのです。

* 併合認定なしで、すでに2級の複数障害の状態にある方が、その中の特定の傷病で障害年金の請求をする場合は、他の傷病の障害状態を差引認定することになります。内臓疾患や精神疾患などでも行われることがあります。

* 病名が多ければ認定上必ず有利とは言えず、逆に不利なケースもありますのでご注意ください。障害年金請求時だけでなく、更新時の審査にも差引認定が行われるケースも想定されます。

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