令和5年度年金額改定について

令和5年度の年金額は、名目手取り賃金変動率と物価変動率の両方が上昇したため、増額改定されます。 しかし、昭和31年4月2日以降に生まれた方(新規裁定者)と昭和31年4月1日以前に生まれた方(既裁定者)では年金額が違いが生じます。賃金の上昇率が2.8%、物価の上昇率が2.5%と、賃金の上昇率が物価上昇率を上回ったことが原因です。

因みに令和4年度までは賃金変動率が物価変動率よりも低かったため、賃金変動率で一律改定されました。結果、年齢による年金額の違いは生じませんでした。

また、マクロ経済スライドが実施されるため、令和5年度のマクロ経済スライドによる調整がマイナス0.3%、さらに、令和3年度と4年度のキャリーオーバー(景気悪化時のマクロスライド未調整分解消策)によるマイナス0.3%との合計0.6%の調整が行われます。

調整により、令和5年度の年金額は新規裁定者は2.2%、既裁定者は1.9%のプラス改定される。

なお、子の加算額と配偶者加給年金は、条文にある通り新規・既裁定者に関わらず、同じ金額となります。

眼の障害認定基準等改正

令和4年1月1日、眼の障害認定基準が改正施行された。

今回の改正により従来の障害等級から上位等級で認定される可能性があります。幣事務所でも既にサポートし、受給された方からの額改定請求や令和3年12月更新の方からの問い合わせがありました。

更新対象者も診断書現症日が施行日3月以内であれば改正後の認定基準でも障害状態を判断すること。額改定請求も、改正認定基準で従来等級以上に該当すると思われる場合はすぐに請求できる。このような通知もだされました。

国年令別表、厚年令別表、併合判定参考表、障害の程度が重くなり1年経たなくても額改定請求できる場合の障害状態も改正された。

傷病手当金(健康保険)受給期間の改正

令和4年1月1日、傷病手当金の受給期間が改正された。

実際に受給した日を通算して1年6月まで受給できるようになった。受給者には歓迎される改正だ。

改正前は、支給開始から1年6月が経てば支給は終了。途中で出勤、欠勤を繰り返した場合、実際に受給できた期間は1年6月にならなかった。(共済組合の加入者は以前から通算支給だった。)

今後は支給調整を念頭に障害年金の手続きを遅らせる方も想定されますが、初診日から1年6月経過して受給できるようであれば障害年金の請求をされるのがよいと考えます。

令和2年7月1日以前に支給開始した方は、この改正支給期間の適用はないので注意が必要。

眼の障害認定基準等改正の専門科会合開催

令和3年4月30日、第1回が開催された。

前回改正時(平成24年12月)の専門科会合検討課題、眼科学会・眼科医会の報告書等を受け平成30年7月に実施された身体障害者手帳(視覚障害)の認定基準改正内容を踏まえ、障害年金認定基準と診断書様式の改正を行う趣旨で行われたもの。

改正のポイント

1.視力障害
「両眼の視力の和」ではなく「良い方の眼の視力」へ。
改正後の影響;3級と2級の一部で等級が上がるケースも?
2.視野障害
1級と3級の等級と自動視野計による認定基準も新たに設定。
改正の影響;該当者は増え、現行基準該当者の不利益変更にはならないとのこと。
3.併合認定参考表
視力障害と視野障害の認定基準改正に添ったもの。
改正の内容;視力は改正検査数値に修正、一部削除。視野障害は包括既定に含まれる。

2回目は5月27日の会合後に改正・施行の予定。

肘の人工関節は3級としない場合もある

肘関節の橈骨頭に人工関節をそう入置換した場合は、障害認定基準の3級に該当しない。

肘の屈伸の主体は上腕尺骨関節が主体だからという理由です。

こんな「取り扱い」を突然、令和3年3月19日に日本年金機構のHPのパンフレット紹介ページに掲載しました。

肘関節の人工関節そう入置換の取り扱いパンフレット

認定基準には書かれていない。

肘の人工関節そう入置換の相談があった場合、パンフレットの内容説明し渡すように窓口では徹底するのだろう。

3月23日付初診日証明のパンフレット周知の通知は出ているが、今回のパンフレットではそれもなかった。

違法薬物使用による給付制限通知発出 令和3年3月4日付

「国民年金法第 70 条、厚生年金保険法第 73 条の2等の規定に基づく違法薬剤の使用に係る給付制限の取り扱いについて」との通知をだした。

内容的には従来と変わらない内容といえるが、麻薬及び向精神薬取締法施行令の一部改正と併せ発出したものだと思える。

違法薬物使用による検挙者数は横ばい傾向にあるものの、大麻使用検挙者が3年連続過去最高を更新している。若年層が増えている状況。医療用麻薬問題。

このような状況で不正処方・不正流通への注意喚起の意味合いもあると考えられる。

違法薬物とは別に、自ら適切な治療・標準治療を受けずに障害状態を悪化させた場合(通院中断、断薬等々)、障害等級判定では不利益を受けざるを得ないことに注意すべき点です。

令和3年度年金額は0.1%引き下げへ 令和3年1月22日付

1月22日、総務省から「令和2年平均の全国消費者物価指数」が0.0%との結果が公表された。令和3年度の年金額の改定は、マイナス0.1%と決定された。

公的年金の改定は毎年度行うことが法で定められている。過去3年間の平均賃金変動率の名目手取り賃金変動率がマイナスで、昨年の物価変動率を下回った場合、名目手取り賃金変動率を年金改定率とするとの規定によるもの。

マクロ経済スライドによる調整は、改定率がマイナスとなった場合は行われないことから令和3年度は適用されなかった。

コロナ感染症問題による賃金水準の低迷により数年後から年金額が大幅に減額され続ける可能性も否定できない!極めて憂慮すべき状況にあるというのは考えすぎでしょうか?

年金手続きの押印は原則廃止へ 令和2年12月25日付

令和2年12月25日から、年金手続き書類への押印が原則廃止された。

障害年金に必要な医師の初診日証明(受診状況等証明書)や診断書も医師の押印は不要となった。(表裏別々に記載された診断書の割り印も不要。ホチキスで止めてあればよい。)

押印欄がある古い書式でも「認め印」でよかった場合は押印しなくてもよく、新様式は押印欄はなく押印なしで受理される。

所得税および関係書類と「銀行届印」や「実印」を押さなければならない書類は従来通り。

委任状も委任者の押印は不要、例外は年金分割(離婚分割)の合意請求時の委任状だけ。

その他

  • 訂正印も不要。
  • 押印不要となった箇所に押印してあっても問題ない。
  • 全て印字されたもの、筆跡等の信ぴょう性について疑問があるときは、請求者等へ電話等による確認が行われる。

再請求初診日証明書類の取り扱い変更通知 令和2年8月31日付

過去に不支給とされた障害年金の再請求を行う場合、「請求者の負担軽減を図るため」同じ傷病・同じ初診日であれば初診日証明書類の再提出を不要とする取り扱いを令和2年10月1日より適用すると通知した。

但し、前回請求で初診日が特定できないとして却下されたケースには適用されない。

このような取り扱いは私が代理業務を始めた当時は認められていましたが、ある時から認めないようになりました。当然であり、遅きに失した対応です。10月と言わず9月1日以降提出事案にも認められるべきです。

更新書類期限後提出他の取り扱いの改正 令和2年6月22日付

厚生労働省は、『「障害基礎年金受給権者の現況届の取り扱いについて」の一部改正』と「障害年金受給権者等に係る障害状態確認届が提出期限までに提出されなかった場合の取り扱いについて」の二つの改正通知を出しました。

(1)『「障害基礎年金受給権者の現況届の取り扱いについて」の一部改正』

遺族年金の現況届も含む取り扱いの改正で、更新(障害状態確認届)の提出期限が全て誕生日の末日に改正されたことによる用語の変更、障害基礎年金と障害厚生年金の取り扱いの規定を一本化する目的です。

障害年金受給者には変更はありません。

(2)障害年金受給権者等に係る障害状態確認届が提出期限までに提出されなかった場合の取り扱いについて」

今回の取り扱い改正のポイントは、過去の障害状態確認届が提出不可能でも「障害状態の継続性を医学的に推認可能」なケースでは、支払い差し止め解除を認めるとしたことです。推認可能な期間は、同じ障害等級で年金が支払われることになりました。

従来は、障害状態確認届を提出期限内に提出できないまま3か月が経過した場合、4ヶ月後以降に支払われるはずの障害年金が支払いが差し止められます。

今回の取り扱い変更前は、提出を求められた現症日診断書を提出しない限り差し止め状は解除されませんでした。(提出日を5年過ぎれば時効で支払いを受ける権利(支分権)は消滅します。)

等級変更の額改定請求を行うか?新たに障害状態確認届として診断書を提出するか?のやり方がありましたが、いずれのやり方も支払い差し止め期間はそのままでした、

今回の取り扱い変更の背景には、新型コロナウィルス感染症による混乱への対応策だと考えられます。

今年度の更新・障害状態確認届の提出が、新型コロナウィルス感染症により1年間延期されました。しかし、来年度以降に終息するかは不明です。

来年度は更新を実施したいが、状況が抜本的に改善しなかった場合は?提出期限を守れない、それどころか所定の期間内に受診できなかったようなケースも想定されます。将来別の感染症等による混乱への対処、そのための取り扱い変更なのでしょう。

障害年金の更新(障害状態確認届提出)、令和3年2月まで中止決定

令和2年4月24日、日本年金機構は令和2年から令和3年2月末までに更新を迎える障害年金受給者に対する障害状態確認届の送付は行わない旨、通知しました。

すでに障害状態確認届を提出した方の審査は行い、等級変更なしと増額改定者には従来通りとし、等級落ちと支給停止者については現状の等級で継続支給し、1年の延長期間後に再認定するようです。

詳細は、障害年金119・ブログをご覧ください。

障害年金不支給や受給者に対する不利益処分理由書の添付開始

4月1日以降処分が行われ、新規障害年金請求に対する不支給、年金受給者の更新時の支給停止、等級変更(減額)、額改定請求、支給停止事由消滅届に伴う不利益処分を行った場合、従来は決定通知書の簡素な理由付記だかでしたが、4月から理由を記載した理由説明書が添付されることになりました。

(一部の障害の更新は、昨年10月より実施済み。)

詳しい内容、背景等々について、ブログで説明して居りますのでごらんください。

年金額改定令和2年度

令和2年4月から新年度の年金額に改定されました。

支払いは6月以降となり、6月には新年度年金額を知らせるハガキ形式の通知書が送付されます。

障害年金119では、令和2年度の年金額に修正ずみです。

令和元年8月1日より診断書の現症日が3月以内へ

平成30年12月28日改正省令公布され、8月1日より次の請求や届と共に障害の程度を審査する際に提出する診断書(レントゲン)の現症日(状態を確認した日)が、提出日又は提出指定日の1か月以内だったものが3か月以内に拡大されました。

① 額改定請求、② 更新(障害状態確認届)③ 支給停止事由該当届

これにより、新規遡及請求の際の診断書現症日が事後重症と同じ期間となった点は、手続き上「ゆとり」が出来たと言えます。しかし、特別支給の老齢厚生年金・障害者特例との同時請求は事後重症請求の現症日は提出日前1か月は変わりませんので注意が必要です。

令和元年7月1日以降、添付書類省略の取り扱い開始他

これまで障害年金の加算対象者が存在する場合、請求者との生計同一関係、加算対象者の収入が基準内かどうかの確認のため、住民票(世帯全員)や所得を証明する書類等を請求時に提出を求 められていたが、省令改正、特定個人情報の情報連携の本格運用が開始される令和元年7月1日以降は、住民票、所得証明または非課税証明等の所得を証明する書類の提出は、原則、不要となりました。

また、20歳前障害基礎年金の更新(再認定)は、一律7月から他の障害年金と同様、指定された年の誕生日月に変更されました。

平成29年9月、差引認定の改正実施開始

平成28年臨時国会質疑において、現行(当時)の差引認定を行った結果、「差引認定後の支給年金の障害等級が、現在の障害の状態に相当する等級がよりも低い等級になる場合がある。」との指摘を受け、厚生労働省は平成26年6月に専門家ヒアリングを行い見直しを決め、9月より実施することとなった。

国会で指摘された具体例は概略次のような差引認定だった。
前発障害 生来の両下肢麻痺障害 障害基礎年金2級認定
後発障害 厚生年金加入中、転落事故により両下肢麻痺が増進、現状の障害等級は1級相当

この例を差引認定すると、後発障害の等級は3級と認定されてしまいます。結果、障害基礎年金2級と障害厚生年金の3級の受給権が発生しますが、実際に受給する場合はどちらか一方の年金を選択することになります。いずれを選んでも現状の1級よりも低い等級の年金を受給するしかないのです。

厚生労働省は過去の差引認定事例を検証した結果、国会指摘のような事例は全体の27.4%だったことから、これまでの経緯も踏まえ、現行基準の基本的な仕組みを維持しつつ、過去の差引認定事例にあてはめたときに、原則として差引認定後に見込まれる支給年金の等級と「現在の障害の程度」が同じ等級となるよう、必要な見直しを図った。

今回の改正では、過去30年間に事例がなく、今後も生じる可能性が低い差引認定事例まで網羅していない。この点について、ヒアリングで障害認定企画専門官は、「一つ一つその状況を見た上で、今回見直しをしたものと同様の事象だということであれば、当然、同じように認定をしていく必要があると考えております・・・・・・。」と述べている。

精神障害に係る等級判定ガイドラインによる運用開始

平成28年9月から精神障害(てんかんは除く)による障害年金の新規裁定請求、額改定請求、障害状態確認届の診査は、本ガイドラインにより等級判定の運用が開始されました。

新規裁定請求についてはリンク先をご覧ください。

更新(障害状態確認届)時で下位等級への変更やそれに伴い支給等級非該当への変更を行う場合は、受給者や家族、診断書作成医への照会を行うなど、慎重に診査すること。障害の状態が従前と変わらない場合、当分の間、等級非該当への変更は行わないこと(下位等級への変更は行われる。)

施行後3年を目途としてガイドラインに基づく認定の見直し等を行う事としています。

認定基準改正「代謝疾患」、「神経系統」

国民年金・厚生年金保険障害認定基準の代謝疾患による障害、神経系統の障害に関し一部改正があり、平成28年6月1日より適用されることとなりました。

従来インスリン使用で血糖コントロール不良(HbA1c及び空腹時血糖値を参考)であれば3級と認定していたものを、検査日以前に90日以上継続してインスリン治療を受けていたものに限定し、Cペプチド値0.3ng/ml未満、重症低血糖による所見が月に1度以上や糖尿病ケトアシドーシスまたは高血糖高浸透圧症候群が原因となる入院が年に1回以上あるものに変更されました。

糖尿病性神経障害は、従来の認定の趣旨にそい神経系統の障害による認定を明確にするために神経系統の障害に明記されることになりました。

それに伴い、診断書(腎疾患・肝疾患 糖尿病の障害用)様式第120号の6-(2)も変更されます。従来数値の他に新規検査数値項目が追加されます。

治療を適切に継続しても血糖コントロールが「困難」な状況を重視した基準変更で、他の病気のような具体的な症状や治療の頻度が明示されました。改正前に比べ、2型糖尿病での3級認定が難しくなる可能性があります。

初診日証明の取り扱い省令改正

平成27年9月24日から上記省令改正により、「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについて」の通知(年管管発第0928第6号)が発出され、10月1日から実施された。

初診日は自己申告した日として認定、支給を認めていた共済組合の実態が新聞等で報じられ、官民格差と日本年金機構の初診日の認定の厳格さが浮き彫りとなり批判が高まったことが原因とかんがえます。

最近、「提出された資料では初診日が・・・・・・であることを確認できないため」と言う理由でまともな審査もせず却下(門前払い)をする事例が増えている。現に私が担当した事例では、1月もしないで却下されている。

詳細は年管管発0928第6号をご覧いただくとして、本通知の最後で「留意事項」として慎重な審査を行うように求めている点が実行あるものとなるように期待するものです。

病歴就労申立書の書式変更

病歴申立書は、これまで障害基礎年金請求用の病歴状況等申立書と障害厚生年金請求用の病歴就労状況等申立書の二つの様式がありましたが、5月から病歴就労状況等申立書に一本化されました。

病歴就労状況等申立書PDF

発病日から初診までの経過も初診日以降の記入欄と同じになり、先天性疾患については誕生日から初診日まで記入するように説明が付記されました。裏面は従来の障害基礎と障害厚生の申し立て記入項目を合わせたものとなっています。

額改定請求待機期間の短縮は限定的なものに

平成24年8月に成立した「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(平成24年法律第62号)により、国民年金法第34条第3項及び厚生年金保険法第52条第3項が改正され、「障害の程度が増進したことが明らかである場合」として 厚生労働省令で定める場合には、額改定請求の待機期間(1年間)を要しないこととされ、平成26年4月から実施されることになっているされました。(令和4年1月1日より、視覚障害は改正あり。)

いつでも等級変更(額改定)の請求ができる場合

①両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの
②一眼の視力が0.04、他眼の視力が手動弁以下のもの
③両眼の視力がそれぞれ0.07以下のもの
④一眼の視力が0.08、他眼の視力が手動弁以下のもの
⑤ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が28度以下のもの
⑥自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が20点以下のもの
⑦ゴールドマン型視野計による測定の結果、両眼のⅠ/4視標による周辺視野角度の和がそれぞれ80度以下かつⅠ/2視標による両眼中心視野角度が56度以下のもの
⑧ゴールドマン型視野計による測定の結果、求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて、Ⅰ/2視標による両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの
⑨自動視野計による測定の結果、両眼開放視認点数が70点以下かつ両眼中心視野視認点数が40点以下のもの
⑩両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
⑪両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの ⑫喉頭を全て摘出したもの
⑬両上肢のすべての指を欠くもの
⑭両下肢を足関節以上で欠くもの
⑮両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
⑯一上肢のすべての指を欠くもの
⑰両下肢のすべての指を欠くもの
⑱一下肢を足関節以上で欠くもの
⑲四肢又は手指若しくは足指が完全麻痺したもの
(脳血管障害又は脊髄の器質障害については6か月以上継続した場合に限る)
※完全麻痺以外の麻痺は、障害の程度の増進が明らかでなく、明確な要件とは言えないため。また、脳血管障害又は脊髄の器質障害については、障害の固定が認められるまでに6か月程度必要であるため。
⑳心臓移植又は人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの
㉑心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの
㉒人工透析療を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る)
※一時的な人工透析療法の施行を除外するため。
㉓6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、新膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの
※一時的に利用する人工肛門を除外するため。
㉔人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る)
※一時的に利用する人工肛門及び一時的に行う尿路変更を除外するため。
㉕人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテ-テルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る)
※一時的に利用する人工肛門及び一時的な完全排尿障害状態を除外するため。
㉖脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの
※遷延性植物状態については、障害の固定が認められるまでに3か月程度必要であるため。
㉗人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る)
※一時的な人工呼吸器の装着を除外するため。

上記項目に該当しなければ、従来通りの待機期間が経過しなければ改定請求はできないということ。

肝疾患、その他の疾患改正認定基準意見募集始まる。

平成26年6月改正予定の肝疾患及びその他の疾患の認定基準と診断書案が公表された。

「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正(案)」に関する意見募集についてを参照されたい。

肝疾患については一般状態区分の変更はないが、従来基準では検査成績及び臨床所見の高度異常があれば1級、中等度異常は2級又は3級とされていたが、今回の改正でより柔軟な組み合わせが認められるようになった。GOT,GPTなど一般になじみのある検査数値は基準から除外されるなど検査項目も変更された。
アルコール性肝硬変の検査にはアルコールを摂取しない期間の明記、肝臓移植についての基準も盛り込まれた。

その他の疾患による障害の認定基準の改正では、人工肛門、新膀胱施術者、遷延性植物状態が加わり、特に遷延性植物状態の規定が盛られた。該当者は1級に認定する旨明記された。また、新たな障害認定日の特例として植物人間状態となって3月を経過した日を認定日と定めている。(初診日から1年6月を経過していないことが条件)

詳細はリンク先をご欄下さい。

認定基準の一部改正に伴う新様式診断書配布開始

6月1日付一部改正の認定基準「眼の障害」及び「精神の障害」実施に先行して診断書(眼の障害用)様式第120号の1及び診断書(精神の障害用)様式第120号の4が新様式で、5月1日から配布が開始された。

平成25年6月1日改正実施の認定基準公表

「国民年金・厚生年金保険障害認定基準の一部改正(案)」に関する意見募集についてが公表された。

今回の改正は、眼の障害と高次機能障害を対象とする精神障害の器質性障害の改正となります。

それに伴う診断書の記載内容の改定も行われます。詳細はリンク先をご覧下さい。

診断書なしでも障害認定、取り消し裁判

平成23年1月17日、名古屋地裁で原処分取り消しの判決がありました。

亡くなられた夫の障害厚生年金認定日での支給を妻が求めたもの。当時夫は漢方治療中で医師の診察は受けていなかったから、カルテがないから診断書が作成できなかった。

「障害認定日の医証がないため認定することができないため。」という却下通知があったのでしょう。審査支給、再審査請求も同様だったはず、私も何度も悔しい思いをさせられています。

判旨は、「その後の医師の診断書や夫の日記などで病状の推移を認定することが可能」、「初診時に余命6カ月?1年と宣告された後、激しい吐き気やめまいなども起こしており、障害認定日の時点で障害等級3級に該当する」として障害厚生年金3級相当とした。

原告代理人、森弘典弁護士は「診断書がなければ裁定できないとしてきた行政の対応に問題提起した判決」と評価した。

「提出された資料では・・・として認めることができないことから請求は却下する。」という処分が多い。社会保険審査会の再審査請求でも認定する側の姿勢に対して取り消しを命じた裁決もあったくらいですから、社会保険制度の趣旨に沿った認定をと願うものです。

ちなみにこの代理人弁護士はマツヤデンキ障害者枠採用の方の労災死亡事故でも画期的な判決を勝ち取った方です。本当に実力と情熱を持って居られる方なのでしょうね。裁判長も最高裁の調査官を務められた方だそうですので隙のないものではないかとのことですから、国は控訴はしない のではと思うのですが、どうなりますか。

受診状況等証明書が提出できない理由書の扱いもたいへん厳格で、提出できる資料がない場合には本当に認定されるのだろうかと思わずには居られません。

20歳前聴覚障害初診証明なしの認定の神戸地裁判決は確定し、20歳前障害年金に限り第三者による証明資料も認めるようになりました。今回はどのような対応となるのか待ちたいと思います。

国民年金法等の一部改正について

平成24年8月22日、「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」が公布されました。

障害給付関連での改正点は、二つあります。①「額改定請求」の待機期間の一部緩和 ②障害者特例の取り扱いの改善です。


額改定請求の待機期間の取り扱いの現状は、当サイトの「額改定請求とは」をご覧ください。

要するに初回請求で支給が認められたり、更新時や額改定請求などで等級変更や支給の停止や再開がされたりするなどの決定(=処分)が行われた場合には1年経過するまでは審査請求以外には再請求ができませんよと言うこと。

今回の改正で、「明らかに障害の程度が増進したことが確認できる場合には、待機期間を要しないこととする。」とされました。

但し、明らかな増進を認める具体的な事例は省令等で定めることとする。」としています。事例の内容、実際の窓口での対応、運用について関心を持たざるをえないところです。


特別支給の障害者特例の取り扱いの改善について。参考リンク:障害者特例

障害者特例の請求書を提出した翌月から支給されるのが現状ですが、障害年金受給者に限り、障害状態にあると判断される時は特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢以降に遡って支給することとしました。

初診日から1年6月経過前、症状固定日前の日までは遡らないことは従来と同じです。

特別支給の老齢厚生年金の支給開始が段階的に引き上げられ、61歳以降に支給が開始される時代となっていることや障害者特例給付が障害年金の受給資格を満たせない方も対象としている特例的給付の現状から考えると今回の改正の対象を「障害年金の受給者については」と限定してしまうことには疑問を感じます。

なお施行日は、2年以内としています。

「一元化」法案の障害年金関連改正

今回の改正案で、障害共済年金にも保険料納付要件を課すこととされました。

平成24年8月22日、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」と言う長い法律が公布された。

要するに公務員や私学共済も厚生年金に加入させるというもので、民間雇用者との公平性を保つことが目的の改正です。

現在の厚生年金加入者と共済加入者の給付関係での格差をあげることができますが、本サイト・障害年金119では、障害給付における改正点について情報提供を行うに留めます。

厚生年金(原則、国民年金も)では、原則、初診日の前前月までの保険料納付済期間と保険料免除期間を合計した期間が全体の3分の2以上がなければ請求資格がありません。

これに対し、公務員や私学職員などの共済制度加入者の障害給付である「障害共済年金」では、初診日での「保険料納付要件」は問われないことになっています。

施行されるのは平成27年10月1日となっています。

肢体認定基準改正と言語機能の障害について

平成24年9月、肢体の障害認定基準が改正実施されました。それに伴い肢体障害請求時等に提出する診断書様式(様式第120号の3)も改正されました。

従来の様式では、言語機能の障害について記入する欄があり肢体の障害と言語機能の障害が併存する場合、二つの障害を併合認定し上位等級に該当するときは上位の等級に認定する取り扱いが行われてきたました。

今回の診断書様式変更で、言語機能の障害記載欄が削除されました。肢体障害と言語障害が併存する方は、新規の障害年金請求や額改定請求、現況届の診断書提出には、別途、聴覚・鼻腔機能・平衡機能の障害用の診断書(様式第120号の2)を提出しなければならなくなりました。

肢体障害専門の整形外科医等の医師では、専門外の言語機能障害の記載は困難な場合が多いことが指摘されていたことがその理由とされています。

例えば、脳出血や脳梗塞などの血管障害を発症し、肢体の障害と言語機能の障害が併存する状態のように原因が同じ場合、原因が別でも「はじめて2級」に該当する場合です。

診断書作成依頼料の増、新たに耳鼻咽喉科への受診等などの負担が請求する側に増すことになります。また、肢体障害の診断書よりも言語機能の診断書作成が遅れるケースも考えられます。

障害年金の受給できる額にも影響を及ぼすことになりますので、年金事務所には事情を説明しておく必要が出てきますので注意が必要です。

認定の難しい請求傷病の診断書追記・添付書式について

日本年金機構では、特定の傷病(線維筋痛症、慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)、化学物質過敏症)について診断書に追加記載すべき項目を決定し、障害年金請求、障害状態確認届とも平成24年5月より実施することになりました。

これらの傷病については、医学的に研究途上であり未だ確立された医学的知見もないことから、新たな認定基準を定めることが現状困難であり、新たな診断書様式作成も出来ないのが原因でしょうか。そのため現状の「その他障害」の診断書への追記あるいは照会書式への追加提出することが必要になりました。

具体的な内容につきましては当サイトのリンク先をご覧ください。

慢性疲労症候群の診断書追加記載事項・添付様式追加について

化学物質過敏症の診断書追加記載事項・添付様式追加について

線維筋痛症、脳脊髄液減少症(脳脊髄液漏出症)の診断書追加記載事項・添付様式追加について

肢体障害認定基準改正

厚生労働省は、「障害年金の認定(関節の機能等)に関する専門家会合」を2011年12月16日に第1回を開催、現在3回目を終了しています。

上肢、下肢及び肢体の認定基準改正、合わせて診断書の変更を行う模様で、実施は2012年9月を目標にしている。

参考

認定基準の改正案及び現行基準の対比表(PDF682KB)

診断書改定案と現行診断書の対比(PDF1913KB)

初診日証明のない場合の新たな通知

20歳前障害年金の初診日証明について新たな通知が発出されました。弾力的な運用とか緩和などとは考えられません。当然のことで遅きに失する通知だと受け止めています。

「20歳前障害による障害基礎年金の請求において初診日が確認できる書類が添付出来ない場合の取り扱いについて」(平成23年12月16日年管管発1216号第3号) が公表。

20歳前障害年金の初診証明が複数の第三者が書面で受診を申し立てた場合には医師の証明に変えることが出来ると言うものです。詳細は下記リンク先PDFをご覧ください。

平成23年12月16日年管管発1216号第3号

平成23年12月20日年管管発1220号第7号

ねんきんネット・年金見込額試算が可能に

2011年10月30日より、「ねんきんネット」で年金見込額試算ができるようになりました。

高齢期のライフプランを立てる参考となる機能の追加と言えるでしょう。

障害年金の見込み額としては、障害基礎年金は定額となっておりますのでこの見込額試算は役に立ちませんが、障害厚生年金の場合には報酬比例部分の金額が見込み額と言えます。

但し、加入期間が300月に満たない方の場合には300月の加入期間となったことにして年金額を計算することになりますし、障害厚生年金3級の場合には最低保障額が設定されて居りますので弊サイトでご確認をお願いします。

(注)下記の条件に該当される方はご利用ができないことになっていますのでご注意ください。
・既に老齢年金を受給されている方
(働き続けていたり、失業手当を受給したりすることにより年金の支給が停止されている方も含まれます。) ・老齢年金の受給資格があって、現在なお請求されていない方
・50歳以上でご自身の加入記録のみでは300月に達しない方など

厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令の一部改正

表題の厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令案が公表されました。

厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令

今回予定される省令改正は、年金請求時の利便性を考慮したものです。

現在、年金請求時には振込口座確認のために通帳を提出することになっていますが、それに替えるものとして振込先金融機関の証明が必要でした。

これを平成23年10月1日から請求時の利便性を考慮し通帳そのものや金融機関の証明がなくても、振込先口座の通帳の写しを提出することで受理されるようになりました。

国民年金・厚生年金保険障害認定基準」の一部改正

「障害年金の認定(知的障害等)に関する専門家会合」の審議の結果を踏まえ、平成23年9月1日より表題の改正が実施されることとなりました。

弊サイトでは、改正案(たたき台)をご紹介しておりましたが、7月4日に厚生労働省が改正内容を公表しましたので改正認定基準及び改定診断書をご案内します。


改正認定基準はこちらをご覧ください。

改定診断書 (PDF)をご覧ください。

* 診断書は当面改定前の診断書様式でも裁定請求を受理する扱いとなります。

障害年金、子や配偶者の加算制度が改正。障害年金加算改善法施行

平成23年4月1日から障害年金加算改善法が施行されました。

障害年金加算改善法の説明

障害基礎年金、障害厚生年金の加算対象となる子や配偶者は、これまでは受給権発生時点で認定していました。本法施行により、障害年金の受給後に結婚したり、子どもが産まれたりした場合には、そのような配偶者や子どもたちも障害年金の加算対象とされるようになりました。ただし、届出を行うことが必要です。

本法律施行により、障害年金受給者については、 例えばお子さんが18歳の年度末を過ぎれば加算が終了します。しかし、その後に出生した子には加算の可能性があると解釈することができます。

また、児童扶養手当との関係ではいずれか多い額を選択できるようになりました。選択が可能となった理由は、法改正が行われたからではありません。最近物議を起こした法の「運用」によるものです。

ご自身で選択の時期を「選択」することも可能ですし、ご夫婦の場合には「選択替え」により有利な手続きが可能となっています(ただし、単身者不可)。リーフレットでは説明されてはおりませんので、行政担当者に相談されると良いでしょう。

日本年金機構の解説リーフレット(PDF)

ヒト免疫不全ウィルス感染症の認定に関する新たな通知が発出

新たな通知が発出されました。

ヒト免疫不全ウイルス感染症とその続発症による疾病及び障害については、「ヒト免疫不全ウイルス感染症に係る障害認定について」(平成10年2月4日付け庁保映発第1号通知.以下「当初通知」という.)により認定を行っているところですが、近年の医学的知見を反映して当初通知の明確化を図るため、「障害年金の認定(ヒト免疫不全ウイルス感染症)に関する専門家会合」を開催し、審議を行ってきました、今般、同会合の「意見書」が別添のとおり取りまとめられたことから、ヒト免疫不全ウイルス感染症に係る障害認定については、当初通知のほか、下記の取り扱いにより平成23年4月1日から実施することとしましたので、遺漏のないよう取り扱い願います。

詳細は、障害年金関連通達Ⅲをご覧ください。

2月28日から「ねんきんネット」サービス開始。

* 自宅で障害年金の加入要件、保険料納付要件の確認が可能。

「ねんきんネット」は、インターネットで、いつでも新しい年金記録(年金の加入記録・未加入期間・未納期間など)を確認できるサービスです。 平成23年2月28日より、日本年金機構のホームページで利用できます。(利用にあたっては、ユーザID発行申し込が必要となり、同日より受け付け開始するとのこと。)

私のねんきんネット利用体験記をご覧ください。

知的障害認定基準及び診断書の『たたき台』を公表。

障害年金の認定(知的障害等)に関する専門家会合の第1回目の資料「認定基準の改正案及び診断書改訂案(たたき台)PDF」が公表されました。

「運用3号」の記録

国民年金の3号被保険者切り替え届忘れに対する新たな救済策「運用3号」が新年早々(平成23年1月1日)開始されました。

給与所得者の厚生年金加入者は国民年金の2号被保険者、その配偶者で2号被保険者でない者は3号被保険者となり自分で保険料を納めなくても保険料は納付したことになりますが、会社を辞め自営業を開始した場合、2号は1号になり3号も1号被保険者になりますので夫婦二人とも国民年金の保険料を納付しなければならなくなります。
しかし、この切り替えの届をしない旧3号被保険者は保険料は納付されず、催促もされないことから国民年金の滞納期間になります。この期間は後に老齢基礎年金の加入期間や金額算定期間とはならない。これまでにも何度か救済措置がとられてきたのですが、厚生労働省の推計で切り替え忘れの人は数10万人にのぼるとのこと。

今回の救済措置(運用3号)は、平成23年1月1日以後に気づいた記録で、不具合に気が付いた時点から直近2年分を納付することを条件に届け出忘れから直近2年前までの期間は免除期間となります。そして、10年間に限り追納を認めるとする法案が成立しても2年以上前の期間は免除の方針だそうです。(参考資料リンク:職員向けのQ&A集

平成22年12月15日付通知より引用

「第3号被保険者期間としての年金記録を実際には第1号被保険者であった期間も含め、真正な記録と認めて行政としての決定等を行ってきたことから、行政の決定等に対する国民の信頼を一定の範囲において保護する必要があるという観点からの取扱いである。」
「ただし、同日(平成23年1月1日)までに本人が当該期間の年金記録を確認し、既に記録の訂正がなされているものについては、対象とならないことに留意願いたい。」
「第1号被保険者への種別変更が適切に行われていない場合における届出勧奨及び種別変更の処理について、今後遺漏なく行われるよう、一層の徹底を図られたい。」

第3号被保険者期間として記録管理されていた期間が、実際には第1号被保険者期間であったことが事後に判明した場合の取扱いは次のとおりとする。
1.受給権者
既に裁定が行われていることから、現状を変更しないものとする。
2.被保険者及び被保険者であった者
(1) 将来に向けては、速やかに第1号被保険者に種別変更し、保険料の納付を求めること。
(2) 過去の期間については、保険料の時効が到来していない過去2年間を除き、現状を変更しないものとすること。保険料の時効が到来していない過去2年間の期間については、遡って第1号被保険者に種別変更するよう認定し、変更した期間に係る保険料の納付を求めること。
但し、障害年金に関しては注意しなければならない点が有ります。
運用3号により記録の訂正が行われても、直近2年間については保険料を納付しても、保険料納付済期間とみなさないこととなります。
従って、直近2年間に初診日がある場合には、保険料納付済期間の可否は原則の3分の2要件だけで判断されることとなります。(「運用3号Q&A」pdf)

新たな年金記録救済措置が発表されました。

平成23年1月30日

厚生労働省は、新たな年金無資格者の救済案を「年金記録回復委員会」で明らかにしたとの報道がありました。旧社会保険庁の事務処理ミスが原因で加入期間が不足し、年金受給資格期間に足りず無年金者のうち、一定の条件を満たした人はさかのぼって救済する方針を決めた模様。(朝日新聞から)

旧社保庁のずさんな記録管理で加入記録がないものとされ、受給資格がないと言われ年金受給をあきらめた人もいた。本人になんら責任がないにもかかわらず、行政の不手際で無年金となってしまった人を法改正ではなく『運用』により救済するもので、時効特例法が適用され遡って全額支払われることとされるようです。
朝日新聞の記事では、旧社保庁から年金受給資格に不足すると言われ受給を断念し、脱退手当金を受け取った方の事例が紹介されています。しかし、一昨年に記録が見つかったとの連絡があり確認したら大幅に不足するのではなく、わずか8月不足だった。
この方の場合、新たな救済措置により8月の保険料を納付、脱退手当金を返還することで遡って年金が支給されることになるようです。

「障害年金の認定(知的障害等)に関する専門家会合(第1回)」の開催が発表

平成23年1月28日

昨日の専門家会議開催について毎日新聞の報道がありました。議事録の公表は来月中に行われるものと考えますが、記事では改正の趣旨や内容にも言及しており以下に引用、ご紹介します。

知的障害年金:認定基準を明確化 発達障害 は新設 厚労省

厚生労働省は、知的障害者の受給する障害年金の等級認定基準を見直し、明確化する方針を決めた。「基準があいまい」との指摘を受け、食事の介助の程度や会話能力などを示す。また、これまで知的障害の基準が適用されてきた発達障害の認定基準を新たに設け、コミュニケーション能力などを例示する。専門家の意見を踏まえて、来年度に関 連通知などを改正する
現行の認定基準は、身体障害は視覚障害の場合、1級は「両眼の視力の合計が0.04以下」などと具体的。しかし、知的障害については、1級(月額8万2508円)が「日常生活への適応が困難で、常時介護を要する」、2級(同6万6008円)は「日常生活における身辺の処理にも援助が必要」とされ、「認定医次第で結果が大きく異なる」と指摘されていた。同省の素案では、現行の表現に加え、「食事や身の回りのこと」をするのに1級の場合は「全面的援助」、2級は「一部の援助」を必要とすることが盛り込まれた。会話による意思疎通に関しては、1級で「不可能か著しく困難」、2級は「簡単なものに限られる」との例示を加える。
また、自閉症やアスペルガー症候群といった発達障害は、対人関係や意思疎通に難があり日常生活が不便とされ、知的障害を伴わない場合も少なくない。これまでは知的障害の基準が適用され、「障害特性を反映できない」との意見があった。素案では、1級は「コミュニケーション能力が欠如し、著しい異常行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常に援助が必要」、2級は「コミュニケーション能力が乏しく、異常行動がみられるため、日常生活への適応に援助が必要」とした。さらに、診断書も見直し、日常生活能力について例示を詳細にする。【野倉恵】
毎日新聞 2011年1月27日

* アンダーラインは引用者が付けたものです。


平成23年1月20日

表題の通り知的障害等の認定基準改正にむけた専門家会合が開催されることが厚生労働省から発表されました。
本会合の目的は、「障害年金の認定要領等のうち、知的障害等について、新しい医学知見を取り入れ、明確化を計ること」。
主な検討事項は、(1) 近年の医学的知見からの表現や例示の明確化(2) その他 とされており、昨年11月1日に公表されたてんかんや心臓疾患と同程度の改正となるのではとの印象です。開催後の議事録公表を待ちたいと思います。

同専門家会合の第1回は、平成23年1月27日(木)。 議題は(1) 年金制度の概要(2) 知的障害及び発達障害に係る障害認定について(3) 障害認定基準の改正案について(4) その他とされています。

ヒト免疫不全ウイルス感染症に関する専門家会合「意見書」公表

厚生労働省は平成22年12月7日に表題の専門家会合の『意見書』を公表しました。平成10年2月に出されたヒト免疫不全ウィルス感染症についての通知以後の医学的知見を踏まえた見直しを議論して来た結果をまとめたものです。認定の診断書への記載項目の変更も示唆しています。

ヒト免疫不全ウイルス感染症に関する専門家会合「意見書」

国民年金法等の一部改正する法律について

平成23年4月1日から施行される障害基礎年金、障害厚生年金の加算額支給要件についての改正ですが、ポイントだけご説明します。

・ 改正前は、受給権が発生した日に加算対象の子や配偶者がある場合に限り加算額が支給され、受給権発生後に結婚したり子が産まれたりしても加算はありませんでした。改正によりそのような場合にも 翌月から加算額が支給されます。
施行日に既に該当する場合は、経過措置として平成23年4月から加算されます。

*児童扶養手当との選択へ

・ 児童扶養手当は、両親のいずれかが障害状態にあるときは支給されることとされますが、子が障害基礎年金の加算対象となっているときは、児童扶養手当は支給されません。

・ 今回の改正施行後に障害基礎年金が支給される場合には、児童扶養手当の方が多い家族は不利な扱いを受けることになります。そのため「運用面で適切な措置」を行うこととし、児童扶養手当か 障害基礎年金の子の加算額のいずれか多い方を選択できるようにすることとされました。

障害認定基準の一部改正 平成22年11月1日実施

国民年金・厚生年金保険障害認定基準が、およそ8年ぶりに改正されました。

「医療水準の向上による医学実態を踏まえ、障害認定基準における認定要領の表現や障害の程度の例示の明確化を計り、障害基礎年金、障害厚生年金及び障害手当金の認定事務における一層の明確化と公平性を確保すること」が今回の改正の趣旨とされています。
傷病によっては診断書の様式も変更されますが、 当面は従来の診断書も使用できることとされています。以下、ポイントをお知らせします。

【精神の障害】
・ 「精神分裂」の表記が「統合失調」に変わりました。
・ 「てんかん」発作がタイプと頻度を用いた例示となり、抗てんかん剤の服用による発作の抑制に外科的治療によるものも認定対象外とされました。

【呼吸器疾患による障害】
・ 認定対象の大半となる呼吸不全の障害の程度(等級)の例示に、慢性気管支喘息の障害状態の例示が追加されました。
・ 症状の程度に加え、治療方法や使用する薬剤及びその使用量を用いた例示となりました。

【心疾患による障害】
・ 検査内容が一部変更され、弁疾患、心筋疾患、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患、重症心不全に区分されそれぞれ例示記載されました。
・ 心疾患の検査における異常所見を見直し、新たに血液検査の数値が加えられた。
・ 従来の認定基準において、「心臓ペースメーカー又は人工弁を装着したものは3級と認定する。」との記載がありましたが、今回削除されました。それらの装着のみでは認定の対象とならず、異常検査所見や一般状態区分による病状により判断されることとなりました。
・ 人工移植や人工心臓装着した場合、1級。CRT(心臓同期医療機器)及びCRT-D(除細動器機能付き心臓同期医療機器)を装着した場合、2級と認定し、1~2年後経過により再認定する旨定められた。
・ 異常検査所見があるものすべてについて、原則心電図等の提出を要することとされた。

【診断書様式の変更】
・ 呼吸器疾患の障害用診断書における換気機能の判断指標として、新たに「努力性肺活量」及び「努力性肺活量1秒率」を追加。
(注) 努力性肺活量とは、できるだけ大きく息を吸い、一気に吐き出すことのできる量。努力性肺活量1秒率とは、努力性肺活量のうち、最初の1秒目に吐き出された量。
・ 循環器疾患の障害用診断書について、新たに心不全の病態が把握できる検査数値であるBNP値を血液検査の項目として追加されました。

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