額改定請求とは?
障害年金を現在もらっている方で、障害の状態が悪化した場合、原則、等級の見直し(年金増額)を請求できます。これを額改定請求と言い、請求書提出日前の3か月以内の現症日(受診した日)のカルテに基づき作成された診断書を提出します。参考;額改定請求書
等級の変更が認められたときは請求日の翌月から障害年金の額が変更されます。
但し、以下の事由に該当する方々は、額改定請求に制限がありますのでご注意ください。
額改定請求が できない方 |
制限の内容 |
障害年金が 支給停止中の方 |
『額改定請求』ではなく、『支給停止事由消滅届』(注4)を提出する。 |
新規裁定(新規申請)で受給できるようになった方 | 受給権を得た日から1年間(注5)は、請求できない。ただし明らかに障害状態が悪化した例示に該当する場合を除く |
現況届で等級が変更された方(注1) | 診査を受けた日から1年間(注4)は、請求できない。ただし明らかに障害状態が悪化した状態に該当する場合を除く(注5) |
額改定請求をした方(注2) | |
老齢基礎年金の繰り上げをした障害厚生年金3級該当者 | 請求できない。 |
過去に2級以上で認定されたことがなかった障害厚生年金3級該当者(注3) | 65歳以降は請求はできない。 |
現在の障害の原因となった傷病と相当因果関係のない、別の傷病が加わって増悪した方 | 『額改定請求』ではなく、裁定請求を行い、併合認定の対象となることがあります。 |
更新診断書(障害状態確認届)
(注1)現況届(更新診断書)提出後に等級の変更がなかった場合、『診査』は行われなかったとされますから、いつでも額改定請求ができます。(昭和45年通達)しかし、審査請求はできません。等級据え置きは、処分(=決定)ではなく単なる確認行為が行われただけだというのがその理由です。
更新時に等級変更の可能性があるとお考えの方は、更新診断書提出の際、額改定請求書も同時に提出すべきです。
また、遡及請求する場合、障害認定日請求と事後重症請求を同時に行うこととなりますが、ふたつの請求の決定が異なった場合、額改定請求書を提出していなければ障害認定日請求の決定に対して審査請求は行えないことになります。
(注2)額改定請求をしたが、結果は等級が変わらなかった。このような場合、『診査』が行われたとされ、再請求がすぐにできなくなる場合もあります。(注1)とは取り扱いが異なりますので、ご注意ください。
(注3)障害等級が3級でも、過去に1級または2級に該当したことがある方はこの制限が適用されません。
(注4)現況届(更新診断書)を提出し、等級変更や不該当と認定され支給停止となった場合は、「支給停止事由消滅届」はいつでも提出できます。「1年間」の制限期間」が適用されるのは額改定請求です。(再)審査請求だけでなく、支給停止事由消滅届も対応策のひとつ。(不支給となった場合の再請求と同じです。)
(注5)原則、1年後の同日の翌日以降に改定請求は可能ですが、処分(決定)内容や診査日の取り扱いで異なりますので以下をご確認ください。
・ ①事後重症請求のみ; 請求受付日から1年後の同日の翌日から
・ ②障害認定日請求; 障害認定日から1年後の同日の翌日から
・ 遡及認定で②と①の等級が同じ場合;上位等級に該当する日(いつでも)から
・ 遡及認定で②と①の等級が異なる場合;①診断書現症日1年後の同日の翌日から
次に更新=障害状態確認届で「診査のあった場合」の請求可能日について補足説明します。
・ 等級据え置きとなった場合; 処分なしですから、いつからでも可能。
・ 増額改定となった場合; 障害状態確認届を提出した月の1日(初日)から。
・ 減額改定となった場合; 障害状態確認届を提出した月の3月後の月の1日(初日)。例;現況届提出締め切り日が7月31日だったら、診査のあった日は、10月1日。額改定可能な日 は、翌年の10月2日以降となります。
なお、1年間の待機については、平成26年4月の法改正で、「明らかに障害の程度が増進したことが確認できる場合には、待機期間を要しないこととする。」とされました。しかし、省令で記載された状態だけに限定されました。(法改正情報)
(注6)額改定請求には請求書と診断書の他に添付しなければならない書類があります!
3級から2級に等級改定を希望する場合、配偶者やお子様(年齢制限有り)がいらっしゃる方はそれぞれの加算が付くからです。お忘れなく!
年金額の増減はいつから行われるか?
現況届提出後に等級変更となり、減額や支給停止とされた方からのご相談が、当サイトの初回無料相談でも増えました。実際の増減開始時期をご説明します。
減額や停止となる場合;提出月から4月目から減額や支給停止が開始されます。
・ たとえば、20歳前障害基礎年金受給者の場合、更新は一律7月ですから等級変更による減額や支給停止は11月支給分からとなります。減額なら12月は減額前と減額後の額となり、2月からすべて減額後の年金額。支給停止なら振り込みは12月で中止されます。
増額となる場合;提出月の翌月から増額支給されます。