失業保険との支給調整の規定はありません。が、・・・。
障害年金を受給される方が、失業保険(雇用保険の基本手当)を受給しても障害年金の減額や支給停止はされません。失業保険が減額されることもありません。
年金で、失業保険を受給すると全額支給停止とされるのは、60歳から65歳までの間に支給される特別支給の老齢厚生年金だけです。
失業保険と同時受給は可能です!
失業保険を受給しながら次の勤務先を捜す。再就職活動の一般的な流れです。
障害年金と失業保険とでは支給調整の規定がないことから同時受給は可能です。
雇用保険法4条では、次のように記載されています。
失業とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。(厚生労働省HPより)
失業手当は、「労働の意思及び能力」のある方の求職活動を支援することが給付の目的です。
障害状態にある方で、就労可能との診断書を主治医から作成・提出し失業保険を受給されているのに、失業保険受給中に障害年金の申請手続きのご相談や手続代理を依頼されることもあります。失業保険受給は当然の権利ですが、失業保険と障害年金を同時に受けられない場合もあるとお答えしています。
障害の重症度を客観的に評価できるような検査数値等のある傷病、人工臓器等設置手術、治療を受けることで「等級は○等級と認定する。」と障害認定基準に明記されているような傷病・障害の方は問題ありません。でも失業保険受給が障害年金受給に重大なマイナス要因となる障害もあるのです。
精神疾患、ガン、難病等での障害年金新規申請や更新時の失業保険受給は注意が必要!両方受給は慎重に!
精神疾患やガン、難病、内臓疾患等は、障害状態を客観的に評価できる検査数値等がない病気です。障害年金請求者の就労制限の実態が等級決定の総合的な判断要素とならざるを得ないのです。
(障害者再就職ではない)「労働の意思及び能力」が認められ再就職活動を行い失業保険も受給できた期間は、障害の程度は重くないと判断される可能性を否定できないと考えます。
障害年金の審査をおこなう日本年金機構は失業保険の受給データを把握しています。
(令和元年から、マイナンバカードによる障害年金申請者・受給者の所得情報も、基礎年金番号と情報リンクできるようになりました。)
障害年金の等級判定には、診断書の内容が最も重視されることを私は否定しません。基本手当を受給中に年金請求のサポートした方で障害年金も支給決定された事例も経験しました。
統計でも診断書審査で精神疾患は、初診日加入国民年金者は92.4%、厚生年金加入者で93.3%が受給できていたことが確認できます。ご覧ください。
引用元:日本年金機構・障害年金業務統計令和2年のP4,P5参照
上記のような傷病で障害年金申請を考えていらっしゃる方は、失業保険受給による障害年金の認定審査への「影響はある」と考えられた方が現実的ではないかと思います。
失業保険の受給期間の延長手続きが妥当な判断なのではないでしょうか?