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病歴・就労状況等申立書の重要な役わりとは?

『障害年金は診断書でほぼ決まる!』と言われることがあります。

書類審査だけの障害年金は、障害等級の判定結果を診断書が左右すると言ってもよいでしょう。医師が作成する書類(医証)は権威があると評価されるからです。初診日証明の受診状況等証明書も同じですね。

医証に比べ、(認定基準にも書かれていますが)障害状態にある申請者本人が事実を述べた書類だけだと、日本年金機構が聞く耳は持たないような対応をすることがあります。申請経験のある方の多くが感じられたことではないでしょうか。

冒頭の発言には「病歴・就労状況等申立書の内容は審査に影響しない。」、だから「真剣に書いても意味がない。」と言った気持ちが込められているのではないかと私は感じます。

「何を書いたらいいか」、「書けばマイナスとなることは何だろう」等々、キーワードや文章表現に苦慮され、不安を感じ申立書が書けなくなる方も大勢いらっしゃいます。

『病歴・就労状況等申立書』を提出する3つの目的・役割についてご説明しましょう。

  1. 主張する初診日の補強証拠書類としての役割。
  2. 治療その他の経過を伝え、障害状態が継続していることを伝えるため。
  3. 診断書だけでは伝えられない障害状態、援助等を伝えるため。

初診日が適切かどうか?審査で病歴・就労状況等申立書の発病から初診までの経過が重視されるからです。

「初診日が特定できないこと」を根拠に却下(門前払い)され(再)審査請求を行った場合、提出した病歴・就労状況等申立書の内容が(再)審査請求で取り上げられます。それだけに日本年金機構の審査段階でも、病歴・就労状況等申立書の内容は重視されていることが理解できます。

初診日認定では問題がないはずの申請でも、「主張する初診日の前に受診したのでは?」と疑念を抱かれることが少なくないからです。私も「当院前に受診なし。」の受診状況等証明書を提出した場合でも、疑念を挟まれた経験が何度もありました。

疑念を晴らすには、医証(受診状況等証明書、診断書)にカルテに記載された内容を必ず書いてもらうことが一番の対策です。更に病歴・就労状況等申立書にも状況を書かなければなりません。

日本年金機構のマニュアル(国民年金。厚生年金保険障害給付(障害厚生)受付・点検事務の手引き)にも審査を行うにあたって初診日を確定するうえでも、重要な補足資料となるものです。と書かれています。

また、令和元年11月14日、申請者に不利益をもたらし不当な初診日認定だと新聞等で報じられました。厚生労働省は同年12月18日、日本年金機構宛に発した事務連絡「脳脊髄液漏出症に係る障害年金の初診日の取扱いについて」を公表しました。病歴・就労状況等申立書の初診日認定での重要性が理解できます。

提出書類(以下「提出書類」という。)の審査等を通じて、請求者が申し立てた初診日(以下「申立初診日」という。)における診療と脳脊髄液漏出症との間の関連性の有無を判断し、申立初診日における診療が脳脊髄液漏出症に係る一連の診療のうち初めての診療であると認められる場合には、申立初診日を障害年金初診日として取り扱うものとする。とあり、提出書類には、病歴・就労状況等申立書も含まれます。

また、発症直後に確定診断が行われなかった理由に関する申立てが行われていること。と書いています。病院の対応、医師からの説明等々を病歴・就労状況等申立書に書かなければなりません。

2番。受けた治療内容、症状の推移、就労状況等は、障害状態の判断では重要です。一時的な悪化ではないこと。入院期間があれば頻度・日数、治療中断した場合の理由。(医師の指示=治癒⇒社会的治癒の適用。自己判断での治療拒否・中断=支給制限要因。)

障害認定日から申請手続きまでは、通常診断書を提出しません。その間の障害状態が継続していたことについて、病歴・就労状況等申立書で説明します。等級変更(等級落ち)が必要かの判断材料とされる可能性を完全に否定できないからです。

最後の3番です。精神疾患、ガン、難病など重症度を判断する客観的な検査数値のない障害があります。病気そのもの、治療による副作用の倦怠感等の症状で生活に支障がある病気です。認定基準にも具体的な決め手となる検査数値が見当たりません。日常生活、社会生活面での支障、人との関わり方が困難な状況も、障害等級決定の判断基準だと書いてあります。

診断書所定の欄に書かれた検査結果も、障害状態を評価するための参考データでしかありません。具体的な状況を病歴・就労状況等申立書に記載しなければなりません。

「一人暮らしをしている。」、「働いている。」状態は、どうしても障害状態が軽いと判断されかねない、マイナス要因です。でも、「周囲の人たちからさまざまな援助を受けているから、辛うじてできている。」のであれば、受給できるはずの障害状態のままではないでしょうか?具体的な援助の状況を書きましょう。

病歴・就労状況等申立書は、提出しなければならないから出すだけの書類ではありません。伝えるべき事実を伝えること、適切な審査を受けるために欠かせない重要な目的と役割を果たす書類だとお考えください。

(再)審査請求も想定される受給困難事案ならなおさらです。病歴・就労状況等申立書の内容が裁決の判断根拠とされることが少なからずあるからです。

精神疾患のように重症度を客観的に評価できる検査数値等のない病気は、病歴・就労状況等申立書の内容が重要です。ガンや難病、内臓障害の方も「精神疾患の等級判定ガイドライン」を一読され、病歴・就労状況等申立書作成の参考とさることをおススメします。

病歴・就労状況等申立書作成のポイント

* 基本的な書き方のご説明

・ 日本年金機構の認定医や審査グループの職員に内容を読んでもらい、ご自分の状態を理解してもらうようにわかりやすく丁寧に書きましょう。でも簡潔に書くことも忘れてはなりません。精神疾患の方に多く見受けられるのですが、申立書の目的とは違う、「・・・があり私はxxと思った、感じた、悲しくなり泣いてしまった。」のような言葉ばかりが書き連ねてあるような申立書は余り意味がないのです。

申立書は、「・・・(の特有の症状)があり、(症状が原因で)△△△となった。(健常者なら、ご自分が健康だった頃なら)普段の生活で問題なくできたことができなくなり・・・の支障がある。」と書いた方がよいのです。(個人的な意見と受け取っていただいて結構です。)

・ 単に「・・・の(事実が)あった。」だけでなく、「何年何月(頃)に・・・の(事実が)あった。」のように具体的な日付が書いてあれば、より信ぴょう性が高いと感じられるのではないでしょうか?)

・ 診断書の「病名」、「発病日」、「初診日」と一致していること。(受診状況等証明書、遡及(そきゅう)請求診断書の病名と違ってもとくに問題はありません。)

・ 障害の原因となった傷病名がふたつ以上ある場合、傷病ごとに病歴・就労状況等申立書を作成し、提出しなければなりません。(精神疾患は、診断書の病名がふたつ以上あっても通常はひとつの申立書で受理されます。)

請求傷病名が一つでも過去に相当因果関係のある病名と診断され、治療を受けていた場合、状況・経過等は必ず記載してください。窓口で受理されず、受理されたとしてもその後で追記を求められ、審査が中断します。例;請求時の病名が腎不全でも、原因が糖尿病だったときは糖尿病の治療経過の記入は欠かせないのです。

* ポイント

『治療の経過』の欄

・ 通院先が同じだったり、治療を受けなかった期間が長かったりしても、5年を超えないように期間を区切って書いてください。(窓口担当者により差があり)書き直しさせられることがありますので。(例外あり。)

・ 初診から治療空白期間が5年以上ある場合は要注意!

初診の医療機関を受診していた期間が短く、次に受診するまでの期間の状況は詳細に書きましょう。初診日を変えられる可能性もあるからです。

・ 先天性疾患の場合、誕生日から現在までの状況を書かなければなりません。(例外あり。)書ききれない場合、専用の用紙(続紙)もありますので窓口で受け取ってください。(専用の用紙でなくても受理されます。)

*例外とは?

  1. 知的障害の場合;誕生日から現在まで。日常生活等で支障が出た頃を重点に一括記入可。
  2. 2番目以降に受診した医療機関の受診日から、20歳誕生日の前日までに障害認定日があると確認出来る、20歳前障害基礎年金請求の場合;発病から初診日証明発行医療機関までの経過のみ一括記入可。

2番目以降の病院受診が、18歳6月前にある方と18歳6月以降20歳の誕生日前日以前に治った(症状固定を含む。)方。2番目の病院受診前に厚生年金未加入であること。

・ 入退院、転院や治療の中断などがあればそこで期間を区切り、理由・目的なども記入してください。

・ 就労や就学の状況や日常生活、社会生活での家族や他人との意思疎通の状況などもできるだけ具体的に記入します。

・ 診察を受けていなかった期間についてもきちんと区切り、その間の状態を必ず記載してください。

・『その他日常生活で不便を感じることがあれば記入してください。』の欄;書かない方もいらっしゃいますが、書くべきです。書いてなければどのような症状、どのような不具合があったのかが読み手には伝わりません。

審査する認定医や事務担当者は、あなたが受給できるように好意的に評価してくれたり、「忖度(そんたく)」してくれたりしません。書かれてなければ、「とくに支障はなかった。」と判断するのです。

* 2親等以内の家族は本人に代わり申立書の代筆が認められます。
(父母、配偶者の父母、子、配偶者の子、養子(女)、祖父母、配偶者の祖父母、兄弟姉妹、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の兄弟姉妹、義兄弟姉妹、孫、配偶者の孫)

病歴・就労状況等申立書の書き方、記入例

具体的な病歴・就労状況等申立書の書き方の説明(タイトル画像です。)をリンク先PDFに書きました。病名は「うつ病」ですが、ガンやその他の障害で全身倦怠感などの症状がある障害の方が、記入される場合にも参考にしてください。リンク先PDFをご覧いただければと思います。

また、旧バージョンに記入したものですが、「うつ病」で申請する歳の病歴・就労状況等申立書・書き方の実例もリンク先をご覧ください。(文字はわかりやすいように赤字で表示していますが、本来は黒字で記入します。)

以上、ご覧いただいた方が病歴・就労状況等申立書作成される際に感じられる悩みや不安の解消になればと思います。

病歴・就労状況等申立書の記入支援、添削、その他申請に関する問題や疑問について低料金でアドバイスするアドバイス業務を障害年金119では行っています。ご依頼を検討いただければ幸いです。

記入のテクニック

病歴・就労状況等申立書の書式は日本年金機構のホームページからダウンロードできます。PDFやエクセル版があり、利用される方も増えました。

パソコンが苦手な方は手書きになりますが、鉛筆は消せるから受理されません。でも、ボールペンで書くと後で書きなおすのは大変です。

鉛筆で書いても窓口で受理される方法を教えます。

申立書の用紙に少し濃い目の鉛筆で書きます。訂正があれば消しゴムで消し、完成したらコンビニエンスストアで同じA3サイズの両面コピーを取ればほぼ完成。コピー機の文字は消えません。ボールペン書きやパソコンで印刷した病歴・就労状況等申立書と同じですから。署名だけボールペンで手書きすればよいでしょう。

両面コピーすべきなのに片面コピーしかしなかったことに後で気づいたような場合は、片面コピーを少しずらして2枚でも1枚の書類だとわかるように割り印をすれば受理されます。診断書ですら両面印刷、記入されていないものでも受理すると日本年金機構のホームページに書かれているくらいですから、あなたが書いた病歴・就労状況等申立書も窓口で受理されます。

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