1年待てはホント?
障害年金の再請求で、私は「1年経たないとできません。」と窓口で説明されたことがありました。一般の方だったら、そのまま1年経過するまで待って再請求をされた方も多いのではないでしょうか。
以下、1年待った方がよいとされる代表的な例をあげます。本当に1年待たなければならないのはどれでしょう?(注)額改定請求は、障害状態が悪化したときより上位等級へ変更するよう求める請求のことです。
- 額改定請求をした場合の再請求。
- 現況届(障害状態確認届)を提出、等級が変わった場合の額改定請求。
- 裁定請求した結果、支給が認められた場合の額改定請求。
- 裁定請求した結果、不支給、却下とされた場合の再請求。
- 支給停止された場合の支給停止解除届の提出。
回答は1、2、3です。
しかし、1と2は明らかに障害の状態が悪化したと認められる場合(平成26年4月の改正省令)に該当する場合は除きます。
条文では?
障害基礎年金の支給要件を定めた第30条から第30条の2から4までに再請求の待機期間についての規定はなく、受給者の障害の状態が変化した場合についての規定だけです。
厚生労働大臣は、障害基礎年金の受給権者について、その障害の程度を診査し、その程度が従前の障害等級以外の障害等級に該当すると認めるときは、障害基礎年金の額を改定することができる。
厚生年金保険法第52条でも同趣旨の条文があります。第1項は職権改定と言います。第2項は、受給者が行う額改定請求の規定です。第3項で受給権取得後や診査=等級変更があった場合の1年待機期間の規定です。
最初の「1年待てはホント?」の設問中4.再請求や5.の支給停止解除届に関する規定は見当たりません。
第3項にはない「明らかに障害の状態が悪化したと認められる場合」の額改定請求の取り扱いは、省令です。
「額改定請求」を行う場合、その他にも注意点がありますのでこちらをご確認ください。
期間制限は限定的!
以下のケースでは、1年経たないと「できない」は誤りです。いつでも「できます。」
- 再請求;不支給となった場合
- 額改定請求;障害の程度が明らかに増進したと認められる場合
- 額改定請求;更新診断書(障害状態確認届)を提出したが、等級が同じだった場合(等級を変更する「処分」がないから。)
- 支給停止解除届;支給対象等級(障害基礎年金は2級以下、障害厚生年金は3級以下)に該当しないため支給停止となった場合